【多すぎ】ハラスメント47種類の一覧表
定義・具体例・企業の対策まで
近年、ハラスメントは働き方の変化やSNSの影響もあり、「◯◯ハラ」と呼ばれるものが次々と増えています。
その結果、「何がハラスメントなのか分からない」「どこまで対策すべきか迷う」と感じる企業も多いはずです。
とはいえ、すべてに同じレベルで対応するのは現実的ではありません。
そこで本記事では、企業の実務目線で次の内容を解説します。
この記事でわかること
- ハラスメントの定義
- 47種類の一覧表
- 企業が優先すべき対策
また後半では、「言った言わない」を防ぐために有効な、映像・音声を使った記録の考え方についても紹介します。
ハラスメントとは?定義と「指導」との違い
ハラスメントとは、相手に対する嫌がらせやいじめを指す言葉です。
しかし、職場における定義はより具体的で、業務上の指導との境界線が重要になります。
この章では以下の内容について解説します。
ここで解説すること
- ハラスメントの基本的な定義
- ハラスメントかどうかは何で決まる?
- 指導・注意・評価がハラスメントになる境界線
ハラスメントの基本的な定義

職場におけるハラスメントとは、優越的な関係や立場を利用し、相手に不利益や不快感を与える言動のことです。
たとえ加害者に悪意がなかったとしても、相手が尊厳を傷つけられたと感じ、就業環境が悪化すればハラスメントとみなされる可能性があります。
具体的には以下のような要素が含まれます。
- 優越的な関係の悪用:上司から部下、専門知識を持つ部下から上司への行為
- 業務の適正範囲を超えた言動:明らかに不要な叱責や強要
- 就業環境の阻害:精神的・身体的苦痛により仕事に支障が出る状態
業務目的から逸脱し、相手に継続的な苦痛を与える行為がハラスメントです。
ハラスメントかどうかは何で決まる?
ハラスメントは、「受け手がどう感じたか」に加え、「社会通念上許容される範囲か」という客観的な視点で判断されます。
被害者の主観(不快感)はきっかけになりますが、それだけでハラスメントが成立するわけではありません。
第三者から見て「それはやりすぎだ」と判断されるかどうかが重要です。
判断の目安として、企業が確認すべきポイントは次のとおりです。
- 1回だけの発言か、執拗に繰り返されているか
- 日頃の信頼関係があるかどうか
- 人格否定や侮辱が含まれているかどうか
- 緊急時で仕方ない態度か、日常的に暴言を受けているか
企業側としては、一方の意見だけでなく、事実関係を客観的に調査、記録する必要があります。
指導・注意・評価がハラスメントになる境界線
管理職が悩むのが、「どこまでが指導で、どこからがハラスメントか」という境界線です。
目的が業務改善であっても、伝え方を誤ればハラスメントと判断される可能性があります。
なぜなら、指導には業務上の必要性があっても、人格や存在そのものを否定する必要はないからです。
感情的な言動や威圧的な態度が加わると、相手の尊厳を傷つけ、就業環境を悪化させてしまいます。
ハラスメントに該当しやすいケースを見てみましょう。
- 人前で長時間にわたり叱責する
- 「使えない」「向いていない」など人格評価に踏み込む
- 大声や威圧的な態度で萎縮させる
- 改善点を示さず、感情だけをぶつける
一方で、業務内容に限定し、具体的かつ冷静に伝える指導はハラスメントには当たりません。
何が問題で、どう改善すべきかを冷静に示すことが、線引きの重要なポイントです。
ハラスメントかどうか第三者目線で判断するには、映像や音声の記録が役に立ちます。
弊社にも「ハラスメント対策で防犯カメラを設置したい」というお客さまが増えています。
お気軽にご相談ください。
【多すぎ】職場で問題になりやすいハラスメント47種類の一覧表
ハラスメント名は年々増え、「全部に対応しないといけないの?」と不安になりがちです。
ただし大事なのは言葉を丸暗記することではなく、職場で起きやすい種類を押さえて、自社の優先順位をつけることです。
この章では以下の内容を紹介します。
ここで解説すること
- 職場ハラスメント47種類一覧
- 三大ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ)は必ず押さえる
- 多すぎると感じる理由
職場ハラスメント47種類一覧
職場で起こり得るハラスメントを、代表例として47種類まとめて一覧表にしました。
一覧を見ると分かる通り、呼び方が細分化されていて「何でもハラスメントになりそう」と感じるかもしれません。
ただし、名称をすべて暗記したり、全項目に同じ濃度で対策したりする必要はありません。
まずは「こういう類型がある」と全体像をつかみ、自社で起こりやすいもの・法的に優先すべきもの(パワハラ、セクハラ、マタハラ等)から順に整備していくのが現実的です。
| No | ハラスメント名 | 1文定義 |
|---|---|---|
| 1 | パワーハラスメント(パワハラ) | 優越的な関係を背景に、業務の適正範囲を超えて苦痛を与える行為 |
| 2 | セクシャルハラスメント(セクハラ) | 性的な言動により、相手に不快感や不利益を与える行為 |
| 3 | マタニティハラスメント(マタハラ) | 妊娠・出産・育児を理由に、不利益な扱いや嫌がらせをすること |
| 4 | パタニティハラスメント(パタハラ) | 男性の育児休業取得や時短勤務などを妨害すること |
| 5 | ケアハラスメント(ケアハラ) | 介護を行う従業員に対し、制度利用を妨げたり嫌味を言うこと |
| 6 | SOGIハラスメント(ソギハラ) | 性的指向・性自認に関する差別的言動やアウティングを行うこと |
| 7 | モラルハラスメント(モラハラ) | 言葉や態度、無視などによって精神的に相手を追い詰める行為 |
| 8 | ロジカルハラスメント(ロジハラ) | 正論を振りかざして相手を論破し、精神的に追い詰める行為 |
| 9 | 不機嫌ハラスメント(フキハラ) | 不機嫌な態度をあからさまにし、周囲にストレスを与える行為 |
| 10 | 時短ハラスメント(ジタハラ) | 具体策なく残業を禁止し、業務量を減らさない行為 |
| 11 | 残業ハラスメント(ザンハラ) | 定時退社を責めたり、無理な残業を強いること |
| 12 | テクニカルハラスメント(テクハラ) | IT知識の差を利用して相手を困らせる行為 |
| 13 | リモートハラスメント(リモハラ) | 在宅勤務中に過度な監視や私生活への干渉を行うこと |
| 14 | 束縛ハラスメント(ソクハラ) | 部下の行動や私生活を過度に管理・制限すること |
| 15 | 放置ハラスメント(ホウハラ) | 仕事や情報を与えず、意図的に孤立させる行為 |
| 16 | ハラスメントハラスメント(ハラハラ) | 正当な指導をハラスメントだと過剰に主張すること |
| 17 | セカンドハラスメント(セカハラ) | 相談者に責任を押し付け、さらに傷つける行為 |
| 18 | アルコールハラスメント(アルハラ) | 飲酒の強要や酒席での迷惑行為 |
| 19 | カラオケハラスメント(カラハラ) | 歌うことを無理に強要する行為 |
| 20 | スメルハラスメント(スメハラ) | 体臭や香水などで周囲に不快感を与える行為 |
| 21 | スモークハラスメント(スモハラ) | 受動喫煙などにより他人に不利益を与えること |
| 22 | エアコンハラスメント(エアハラ) | 空調設定を独断で変更し体調に配慮しない行為 |
| 23 | 音ハラスメント | 音や操作音で周囲を不快にさせる行為 |
| 24 | ヌードルハラスメント(ヌーハラ) | 麺をすする音で周囲を不快にさせること |
| 25 | エアーハラスメント | 場の空気を悪くし、発言しづらい雰囲気を作る行為 |
| 26 | ジェンダーハラスメント(ジェンハラ) | 性別の固定観念を押し付ける言動 |
| 27 | シルバーハラスメント(シルハラ) | 年齢を理由に差別・侮辱すること |
| 28 | レイシャルハラスメント(レイハラ) | 人種・国籍・民族を理由に差別する行為 |
| 29 | ブラッドタイプハラスメント(ブラハラ) | 血液型で性格を決めつけ差別すること |
| 30 | マリッジハラスメント(マリハラ) | 結婚に関する過度な干渉 |
| 31 | ラブハラスメント(ラブハラ) | 恋愛事情を執拗に聞く行為 |
| 32 | 告白ハラスメント(コクハラ) | 立場を利用して交際を迫る行為 |
| 33 | パーソナルハラスメント(パーハラ) | 容姿や私的な事柄を攻撃すること |
| 34 | ファッションハラスメント | 服装や見た目に個人の価値観で口出しする行為 |
| 35 | ワクチンハラスメント(ワクハラ) | ワクチン接種を強制・差別すること |
| 36 | コミュニケーションハラスメント(コミュハラ) | 過度な会話や反応を強要する行為 |
| 37 | ソーシャルハラスメント(ソーハラ) | SNSでの監視や関係の強要 |
| 38 | フォトハラスメント(フォトハラ) | 無断で写真撮影や公開を行うこと |
| 39 | 飯ハラスメント(メシハラ) | 食事への参加や好みを強要する行為 |
| 40 | お菓子ハラスメント(オカハラ) | 土産配りを強制・非難すること |
| 41 | エンジョイハラスメント(エンハラ) | 楽しむことを強制する価値観の押し付け |
| 42 | トレンドハラスメント | 流行を知らない人を馬鹿にする行為 |
| 43 | カスタマーハラスメント(カスハラ) | 顧客や取引先による理不尽な要求や暴言 |
| 44 | ペイシェントハラスメント(ペイハラ) | 患者・家族が医療従事者に行う嫌がらせ |
| 45 | 就活ハラスメント(オワハラ含む) | 就活生に不当な圧力や要求を行うこと |
| 46 | アカデミックハラスメント(アカハラ) | 教育・研究現場で権力を利用した嫌がらせ |
| 47 | ドクターハラスメント(ドクハラ) | 医師による高圧的対応や上下関係を利用した嫌がらせ |
三大ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ)は必ず押さえる
種類が多すぎて圧倒されてしまいますが、企業として最優先で対応すべきものは、パワハラ・セクハラ・マタハラの「三大ハラスメント」です。
これらは社会的な問題性が高いだけでなく、法律で企業に防止措置が義務付けられているため、対応の優先度が他とは異なります。
まずはこの3つを最優先に対策し、その上で近年増加している「カスハラ」などに手を広げていくのが効率的です。
法律で防止措置が義務付けられている
三大ハラスメントは、企業の努力目標ではなく、法律にもとづき防止措置が義務付けられている分野です。
主に関係する法律は次のとおりです。
- パワハラ:労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
- セクハラ:男女雇用機会均等法
- マタハラ:育児・介護休業法
これらの防止措置は、違反や不備が疑われると、労働基準監督署などの行政機関から、指導や助言、是正を求められる可能性があります。
つまり、ハラスメントは社内で完結する問題ではなく、外部から会社としての体制を問われるテーマだと理解しておきましょう。
ハラスメントの種類が多すぎる理由
「◯◯ハラ」は次々と増えるため、多すぎると感じる方も多いでしょう。
理由としては、似たトラブルが場面別に命名されていることが大きいです。
- リモート・時短・育児介護などで摩擦が起きる場面が増えた
- SNSやネットで名称が定着しやすい
- NGを説明しやすくするため、あえて分類名が増える
だからこそ、名称に振り回されず、まずは三大ハラスメントを優先して取り組みましょう。
結果として他のハラスメントにも対応できる可能性があります。
代表的なハラスメントの定義・具体例
この章では、企業として特に理解しておきたい代表的なハラスメントを取り上げ、定義と具体例を整理します。
この章で解説するハラスメント
- パワハラ(6類型)
- セクハラ
- マタハラ/パタハラ/ケアハラ
- モラハラ・フキハラ
- ペイシェントハラスメント
- カスハラ
パワハラ(6類型)
職場のハラスメント相談で、多いのがパワハラです。
特徴は、上司と部下などの立場の差を背景に、業務の範囲を超えた言動が行われる点にあります。
厚生労働省では、パワハラを次の6類型に整理しています。
- 身体的攻撃:暴行、物を投げるなど
- 精神的攻撃:人格否定、過度な叱責
- 人間関係からの切り離し:無視、仲間外れ
- 過大な要求:明らかに不可能な業務を押し付ける
- 過小な要求:仕事を与えず成長機会を奪う
- 個の侵害:私生活への過度な干渉
これらに当てはまる行為は、指導のつもりでもパワハラと判断される可能性があるため注意が必要です。
セクハラ
セクハラは、発言した本人の意図に関係なく、性的な言動によって就業環境を悪化させることです。
男女問わず、上司・同僚・取引先など、立場を問わず発生します。
職場で問題になりやすい例は次のとおりです。
- 容姿や体型、年齢についての発言
- 恋愛事情やプライベートをしつこく聞く
- 性的な冗談やからかい
- 不要な身体接触
受け手が不快に感じ、働きにくくなった時点でセクハラになり得る点を、組織として共有しておくことが重要です。
マタハラ/パタハラ/ケアハラ
妊娠・出産・育児・介護に関連する制度の利用を阻害したり、嫌がらせを行う行為です。
具体的には以下のようなケースがあげられます。
- マタハラ:「妊娠したら仕事はやめるよね?」と退職を促す、つわりで休むことへの嫌味
- パタハラ:男性の育休申請に対し「男のくせに育休なんて取るな」「出世に響くぞ」と脅す
- ケアハラ:介護のための時短勤務を申請した人に対し、迷惑そうな態度をとる
企業は制度を整備するだけでなく、制度を利用しやすい雰囲気を作ることも求められます。
モラハラ・フキハラ
暴力などの目に見える形ではなく、精神的に相手を追い詰める行為です。
具体的には以下のようなケースが挙げられます。
- モラハラ:無視する、情報を与えない、皮肉を言う、ため息をつく
- フキハラ:常に不機嫌なオーラを出し、周囲に気を遣わせる、ドアを強く閉める音で威嚇する
これらは「指導」という名目で行われることもあり、パワハラとの境界が曖昧になりがちですが、組織の生産性を著しく下げる要因です。
ペイシェントハラスメント

医療・介護現場で深刻化しているのが、患者や利用者(ペイシェント)からのハラスメント、通称「ペイハラ」です。
一般企業のカスハラに近いですが、治療やケアが必要な相手からの行為であるため、現場スタッフが拒絶しにくく、深刻なストレスを抱えやすい特徴があります。
ペイハラについては、以下のページでも詳しく解説しているので、参考にしてください。
カスハラ
カスタマーハラスメントは、顧客や取引先からの理不尽な要求や過度なクレームによって、従業員の就業環境が損なわれる問題です。
「お客様だから仕方ない」と放置すると、被害が拡大しやすくなります。
代表的な行為は次のとおりです。
- 暴言や人格否定、威圧的な態度
- 土下座の要求や過剰な謝罪の強要
- 長時間の拘束や業務範囲を超えた要求
これらは正当なクレームとは別物で、従業員を守るために企業が対応すべき行為です。
近年カスハラは社会問題にもなっており、支援事業を行っている自治体もあります。
詳しくは以下のページもご覧ください。
これってハラスメント?判断に迷いやすいケース
ハラスメント対策で現場が悩むのは、これはアウトなのか?というグレーゾーンです。
ここでは、判断を迷いやすい代表的なケースを整理します。
ここで解説すること
- 正論(ロジハラ)・詰め方・言い方はアウト?
- ため息・無視・不機嫌(フキハラ)は該当する?
- 仕事を与えないのはハラスメント?
正論(ロジハラ)・詰め方・言い方はアウト?

相手が反論できない状況で正論を突きつけ続けると、精神的な圧力になります。
- 人前で論理的に詰め続ける
- 逃げ道を与えず、言い返せない空気を作る
- 感情や人格まで否定する言い回し
このように、正論でも相手の尊厳を守れていない場合は、ハラスメントに該当する可能性があります。
一方で、業務改善を目的に、冷静かつ建設的に伝える指導であれば問題ありません。
ため息・無視・不機嫌(フキハラ)は該当する?

フキハラは、行為者に自覚がないまま起きやすいのが特徴です。
- あからさまにため息をつく
- 話しかけても返事をしない
- 不機嫌な態度で職場の空気を支配する
これらは一度きりであれば注意で済む場合もありますが、継続すると就業環境を悪化させます。
とくに管理職が職場でこのような態度を続けるようであれば、ハラスメントに該当する可能性があります。
仕事を与えないのはハラスメント?
仕事を与えないこともハラスメントに該当する可能性があります。
明確な理由がないまま業務から外す行為は注意が必要です。
- 能力や経験があるのに仕事を回さない
- 情報共有をせず、業務に参加させない
- 「様子見」を理由に放置し続ける
本人の成長機会を奪い、精神的苦痛を与える行為と判断されることがあります。
業務上の必要性や合理的理由が説明できるかどうかが、ハラスメントか否かの分かれ目です。
ハラスメントが企業にもたらすリスク
ハラスメントは、個人間のトラブルで終わる問題ではありません。
対応を誤ると、人・お金・信用のすべてに影響が及び、企業経営そのものを揺るがします。
ここでは、企業側にどのようなリスクが生じるのかを整理します。
ここで解説すること
- 離職・メンタル不調・生産性低下
- 訴訟・損害賠償・行政対応・企業イメージ低下
- 「言った言わない」でトラブルが長期化する
離職・メンタル不調・生産性低下

ハラスメントを放置すると、まず影響が出るのが人材面のダメージです。
被害者だけでなく、周囲の従業員にも悪影響が広がります。
起こりやすい問題は次のとおりです。
- 不安やストレスによるメンタル不調
- モチベーション低下や集中力の欠如
- 優秀な人材の離職や休職
こうした状態が続くと、職場全体の雰囲気が悪化し、チームの生産性が下がります。
訴訟・損害賠償・行政対応・企業イメージ低下

ハラスメント被害が深刻化すると、外部機関を巻き込んだトラブルに発展します。
被害者が労働基準監督署に駆け込んだり、弁護士を通じて損害賠償を請求したりするケースは珍しくありません。
具体的には以下のようなリスクです。
- 損害賠償請求や労働審判、訴訟への発展
- 労働局など行政機関からの指導・是正
- SNSや報道による企業イメージの低下
一度失った社会的信用を取り戻すには、多大な時間とコストがかかります。
「言った言わない」でトラブルが長期化する
ハラスメント問題がこじれやすい理由の一つが、証拠が残りにくいことです。
当事者の主張が食い違い、「言った」「言っていない」の水掛け論になりがちです。
トラブルが長期化すると、次のような問題が起こります。
- 事実確認に時間がかかる
- 社内の不信感や分断が広がる
- 当事者双方の精神的負担が増える
こうした状況を防ぐには、客観的に確認できる材料を残せる環境が重要になります。
企業がやるべきハラスメント対策
ハラスメント対策は、「問題が起きたら考える」ものではありません。
あらかじめ仕組みを整えて、トラブルの予防と早期解決につなげるものです。
ここでは、企業が最低限取り組むべき対策を整理します。
ここで解説すること
- 社内ルールと就業規則の見直し
- 相談窓口の設置
- ハラスメントに対する研修と管理職教育
- 再発防止の仕組みを整える
社内ルールと就業規則の見直し
まずは、会社として「ハラスメントを許さない」という姿勢を明確にしましょう。
就業規則にハラスメント禁止規定を盛り込み、懲戒事由として明記することで、抑止力を高めます。
具体的には以下のようなアクションが必要です。
- 経営者主導で「ハラスメントを許さない環境を作る」と宣言する
- どのような行為がハラスメントにあたり、どのような処分を下すかをルール化する
- ルールを作るだけでなく、社員ハンドブックなどで全員に知らせる
ルールが曖昧なままだと、いざ問題が起きたときに加害者を適切に処分できない可能性があります。
相談窓口の設置

被害者が一人で抱え込まないよう、相談窓口を設置することが義務付けられています。
社内の人間には相談しにくいケースも多いため、外部機関の活用も有効です。
具体的には以下のような設置方法があります。
- 社内窓口:人事部や総務部に担当者を置く(男性・女性両方を配置)
- 社外窓口:弁護士事務所や専門の代行業者に委託する
「相談窓口があります」と掲示するだけでなく、実際に相談しやすい雰囲気を作ることが大切です。
ハラスメントに対する研修と管理職教育
ハラスメントの多くは「無知」や「古い価値観」から生まれます。
定期的な研修を行い、社員の意識をアップデートし続けることが重要です。
とくに管理職層への教育は必須です。
具体的には以下のような内容を実施します。
| 研修 | 内容 |
|---|---|
| 階層別研修 | 具体的なケーススタディを用いて、「何がアウトか」を考えさせる |
| アンコンシャス・バイアス研修 | 無意識の偏見(「男だから」「若いから」など)に気づかせる |
一度だけでなく、継続的に実施することで意識が定着します。
再発防止の仕組みを整える

万が一ハラスメントが起きてしまった場合は、加害者の処分だけでなく、なぜそれが起きたのかを分析し、再発防止策を講じる必要があります。
属人的な問題で片付けず、組織風土や労働環境そのものを見直すチャンスと捉えましょう。
定期的にアンケートや面談を実施することも重要です。
再発防止を徹底することで、企業としてハラスメントに対する意識を高められます。
適切に対応するためには「記録を残せる環境」が必須
ハラスメント対応で多くの企業が直面するのが、事実確認の難しさです。
当事者の記憶や認識だけに頼ると、判断がぶれやすく、トラブルが長期化してしまいます。
そこで重要になるのが、記録を残せる環境を整えることです。
ここで解説すること
- なぜハラスメント対応では「記録」が重要なのか
- 防犯カメラが果たす役割
- 集音マイクが果たす役割
なぜハラスメント対応では「記録」が重要なのか
記録がないとハラスメントに対して公平な判断ができないためです。
当事者の記憶や感情だけに頼ると、どうしても「言った言わない」の争いになります。
記録を残せることのメリットは以下のとおりです。
- 事実関係を客観的に確認できる
- 感情論を排し、冷静な対応がしやすくなる
- 社内外への説明責任を果たしやすい
記録が残っていれば、特定の人の主張に左右されず、公平な判断ができます。
また、被害者だけでなく、適切に対応した企業や管理職を守れます。
防犯カメラが果たす役割

防犯カメラは、不審者対策だけでなく、ハラスメント対応の補助ツールとしても有効です。
映像が残ることで、職場で何が起きていたのかを客観的に振り返れます。
防犯カメラが果たす主な役割は次のとおりです。
- 事実確認の材料として活用できる
- 行為の有無や状況を第三者視点で把握できる
- 「見られている」という意識による抑止効果
共用スペースに設置することで、トラブルの予防と早期解決につながります。
プライバシーに配慮しつつ、適切に運用することが重要です。
弊社は個人、法人問わず9,000件以上の防犯カメラを設置してきた経験があるので、最適な提案ができます。
集音マイクが果たす役割

ハラスメント問題では、「何が言われたか」が争点になるケースが少なくありません。
集音マイクは、音声という形で記録を残せる点が大きな強みです。
集音マイクが役立つポイントは次の通りです。
- 暴言や威圧的な発言の有無を確認できる
- 「言った言わない」の水掛け論を防ぎやすい
- 映像だけでは分からない状況を補完できる
音声記録があることで、事実確認がスムーズになり、感情論に引きずられにくい対応が可能になります。
また、防犯カメラにはマイクを搭載した機種もあります。
詳しくは当社にお気軽にお問い合わせください。
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よくある質問
最後に、ハラスメントに関してよく寄せられる質問にQ&A形式で回答します。
職場の三大ハラスメントは?
パワハラ、セクハラ、マタハラ(妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント)の3つです。
最新のハラスメントの一覧は?
本記事で紹介した47種類だけでなく、日々新しい言葉が生まれています。
世にあるすべてのハラスメントを網羅するのは困難でしょう。
正論ばかり言うのはハラスメントですか?
言い方や目的によっては「ロジカルハラスメント(ロジハラ)」やパワハラになる可能性があります。
正論であっても、相手を精神的に追い詰めること自体が目的化していたり、逃げ場のない状態で執拗に責め続けたりする場合は指導の域を超えています。
まとめ ハラスメントは放置せず対策が必要
職場のハラスメントは種類が多く、「全部に対応しなければならない」と感じがちです。
しかし実際には、三大ハラスメントを軸に優先順位をつけ、起こりやすいリスクから対策することが重要です。
とくに近年は、「言った言わない」でトラブルが長期化するケースが増えています。
そのため、防犯カメラや集音マイクなど、客観的な記録を残せる仕組みを整えておくことは、被害者だけでなく、適切に対応する企業や管理職を守る手段にもなります。
「自社の場合、どこまで対策すべきか分からない」
「防犯カメラや音声記録はハラスメント対策として使えるのか知りたい」
そのような場合は、業種や職場環境に合わせた導入方法をご提案できますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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