企業が今すぐ始めるべきカスハラ対策
【防止条例・補助金情報まとめ】

顧客から不当なクレームや暴言、無理難題といった、いわゆる「カスタマーハラスメント」が社会問題として大きな注目を集めています。
その深刻さを受けて、全国各地では「カスハラ防止条例」の施行が始まり、あわせてAIシステムや監視カメラの導入を支援する補助金制度もスタートしています。
このページでは、実際に起きたカスハラ被害の事例や、企業側が受けるリスクや影響、カスハラに関する補助金制度、企業が導入べき効果的なカスハラ対策について詳しくご紹介します。
【カスハラの実態】深刻化する社会問題と被害の事例
なぜ今、カスハラが社会問題として注目されているのか
日本のサービス業界では、長年にわたり「顧客第一主義」や「おもてなし文化」が美徳とされてきました。「お客様は神様」という価値観が今も根強く残る中で、過剰サービスの提供が顧客の期待をさらに高め、「やってもらって当たり前」という意識を生むようになりました。その結果、不満や苦情、カスハラが生じやすい社会になってきたといわれています。
こうした背景から、従業員に過度なストレスやプレッシャーがかかるようになり、社会問題となっています。
さらに、SNSの普及によって顧客側の発言力が大きくなったことも、カスハラの増加につながっている要因の一つとされています。
特に以下のような業種では、カスハラのリスクが日常的に存在しています。
- 小売・飲食などの接客業
- 医療・介護・福祉などのケア業界
- 行政窓口や市役所など、公共サービスを担う公的機関
これらの現場では、「暴言・怒鳴り声・従業員個人への攻撃」といった精神的に強い負担を伴う言動が繰り返されることで、スタッフが心身に不調をきたし、離職につながるケースも少なくありません。
こうした背景を踏まえ、次に実際に発生したカスハラ被害の具体的な事例をご紹介します。
実際のカスハラ被害事例
瀬戸市役所職員が受けたカスハラ被害
2025年4月、愛知県瀬戸市役所でカスタマーハラスメントと見られる事案が発生しました。
市役所の窓口で対応していた職員に対し、市民が暴言を浴びせたり、執拗に謝罪を要求するメールを送るなどの行為が確認されています。こうした一連の行動について、警察は客からの迷惑行為=カスタマーハラスメントに該当する可能性があるとし、調査を進めています。
飲食店がカスハラで閉店に追い込まれる
2023年7月、茨城県水戸市のある飲食店で、カスタマーハラスメントによる深刻な被害により、最終的には閉店に追い込まれるという事件がありました。
2年前に来店した客が店の対応に不満を感じ、嫌がらせがエスカレート。従業員の安全にまで危険が及ぶ可能性があると判断した店主は、閉店を決意しました。
このようなケースは、単なるクレームが「犯罪行為」に発展するリスクを明確に示しており、特に中小企業・個人経営店でも早期のカスハラ対策が必要であることを強く物語っています。
カスハラによる企業の損失と影響まとめ
では、カスハラが深刻化すると企業側にはどのような損失やリスクがあるのでしょうか。
単なる「クレーム対応」で済ませてしまうと、企業活動全体に大きな影響を及ぼす恐れがあります。
カスハラが企業に与える4つの重大リスクとは?
- 離職や休職者の増加
- カスハラによる精神的なダメージを受けた従業員が、業務に耐えられず退職したり、長期の休暇を余儀なくされるケースが増加します。
- 現場では、人手不足が深刻化し、新たな人材確保にかかる採用コストや教育コストにも大きな負担になります。
- 生産性の低下
- カスハラが続くことで、スタッフのモチベーションが低下し、職場の雰囲気やチームの連携に悪影響を及ぼします。
- 従業員が萎縮して働くようになれば、顧客対応の質も落ち、企業全体の生産性に直結します。
- SNSや口コミでの風評リスク
- 現代はひとつ一つのミスや対応が切り取られ、ネット上で拡散されやすい時代です。
- たとえ正当な対応であっても、投稿内容によっては企業の評判が悪化し、ブランドイメージの低下につながってしまうこともあります。
- 精神疾患や労災、訴訟問題への発展
- 放置されたカスハラによって、従業員がうつ病や適応障害などの深刻な精神疾患を発症するケースが増えています。
- 精神的なストレスが長期化すれば業務の継続が困難になり、最終的には職場復帰が難しくなることも少なくなりません。
労災の認定基準にカスハラが追加
厚生労働省は2023年9月、労災の認定基準を改正し、新たに「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を対象項目として追加しました。
この改正により、カスハラが原因で精神疾患を発症した際の労災認定の判断がより明確になり、企業には従業員のメンタルヘルスを守るための具体的な対策や、対応体制の整備が一層求めらるようになっています。
このように、カスハラは単なる接客トラブルではなく、企業経営にも大きなリスクをもたらす重大な問題です。
こうした背景を踏まえ、現在多くの企業において、具体的なカスハラ対策の導入が求められています。
全国で進む「カスハラ防止条例」の施行
実際に起きた被害や企業への影響をみても、カスハラはもはや現場で対応すべき個別の問題ではありません。被害の深刻化と社会的な注目を受け、国レベルでも制度化に向けた動きが進んでいます。
2024年12月26日、厚生労働省は企業に対してカスタマーハラスメント対策を義務付ける方針を発表しました。従業員の就業環境を守るための重要な一歩として位置づけられ、企業には対応方針の策定や相談窓口の設置など、具体的な対策が求められています。
これを受けて、行政も制度として対応を進めており、各自治体がカスハラ防止条例の施行を始めています。
参考:NHK NEWS「厚生労働省 企業に『カスハラ』対策義務づける方針を決定」
カスハラ防止条例が適用された主な地域
「カスハラ防止条例」とは、顧客や取引先の迷惑行為=カスタマーハラスメントを防ぐことを目的とし、各自治体が独自に制定する条例です。2025年4月1日には、以下の地域で正式に施行されました。
- 東京都
- 北海道
- 群馬県
- 群馬県嬬恋村
- 三重県桑名市
参考:読売新聞「北海道がカスハラ防止条例を施行、対策導入の企業増加…『人手確保の追い風に』」
また、愛知県、和歌山県、長野県松本市などでも条例制定の検討が進められており、今後さらに多くの自治体・地域に拡大するとされています。
企業の対策を後押しする補助金・奨励金制度
こうした条例の施行に合わせて、各自治体では企業のカスハラ対策導入を支援するための補助制度も始まっています。
【東京都】カスハラ対策に使える奨励金制度
東京都では、2025年4月1日施行の「カスタマーハラスメント防止条例」に合わせて、企業向けにカスハラ対策を支援する奨励金制度を発表しました。
この制度は、条例による取り組みに加え、録音・録画環境の整備やAIを活用したシステムの導入など、実践的なカスハラ対策を行った企業に対して、奨励金が支給される予定です。
【企業向け奨励金】2025年6月募集開始予定
概要 条例施行日(令和7年4月1日)以降に、マニュアルを整備し、実践的なカスハラ防止対策を行った企業等に対して支給 対象 都内中小企業等(従業員300人以下) 支給規模 10,000社 金額 最大40万円 対象経費 ・カスハラ防止対策マニュアルの作成
・以下①~③いずれかひとつの対象の取組の実施
①録音・録画環境の整備
②AIを活用したシステム等の導入
③外部人材の活用※申請方法や要件の詳細は東京都の公式ホームページでご確認ください。
参考:東京都「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行します
【名古屋市】中小企業向け支援事業(2025年度施行予定)
中小企業にが取り組むカスタマーハラスメント対策への支援事業の実施を発表しています。
この制度は、中小企業における職場環境の改善や従業員の安全確保を目的として、カスタマーハラスメント対策に取り組む中小企業を支援するものです。
補助要件 対象のセミナー受講済み、および個別相談の実施が必要 補助対象経費 カスタマーハラスメント対策に必要な経費(管理用カメラや通話録音装置の導入費など) 補助率 対象経費の1/2以内 補助限度額 30万円 ※申請方法や取組要件の詳細は、随時ホームページにてご確認ください。
参考:名古屋市公式ホームページ「令和7年度主な施策等一覧」
カスハラ防止に効果的!企業が導入すべき対策
監視カメラで「見える化・証拠」を残す
カスハラ対策において効果的なのが監視カメラの設置です。
監視カメラの存在そのものが心理的な抑止効果となり、トラブルや迷惑行為の発生を未然に防ぐ効果が期待できます。
また、防犯目的としての侵入対策はもちろん、遠隔監視を活用すれば、現場にいなくでもスマホやタブレットで状況を確認できるため緊急時の対応にも役立ちます。
なかでもおすすめなのが、マイク内蔵の監視カメラです。
映像に加えて音声も記録できるため「言った・言わない」のトラブルを防ぐ客観的な証拠として非常に有効です。
録音されたデータは、万が一の際の証拠確保としてだけでなく、従業員対応の見直しや教育研修の資料としても活用できます。
トリニティーのマイク内蔵カメラ
- 500万画素のバレット型カメラ「TR-IP8510」
- 500万画素のドーム型カメラ「TR-IP9510」
音声録音が重視される理由とは?
厚生労働省が令和2年10月に実施した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、全国の企業・団体に勤務する20~64歳の男女労働者のうち、過去3年間にカスタマーハラスメントを一度以上経験した割合は15%にものぼります。
中でも、受けた行為の内容として多かったのが、「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム」「名誉毀損・侮辱・ひどい暴言」です。このような実態からもわかるように、音声をしっかりと記録することは、カスハラ対策において不可欠です。
録音データがあることで、被害者の主張の裏付けが可能となり、企業としても迅速かつ公正な対応が取りやすくなります。
参考:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」
店舗のトラブル解決に役立つ「レジカメ」
弊社が提供する「レジカメ」は、レジやカウンター上に設置された監視カメラによって、映像と音声を長期録画できるレジ専用のカメラシステムです。
店舗で頻繁に発生する「お金や商品の受け渡しミス」や、「クレーム対応」などのトラブル防止に大きく貢献します。
レジカメは、500万画素の高画質カメラを採用しており、手元の詳細をしっかり記録することが可能です。
また、初期費用0円・月額5,500(税込)~からご利用いただけるため、導入のハードルも低く、レンタル期間中はずっと保証付きで安心してお使いいただけます。さらに、カメラと一緒にモニターも設置いたしますので、複数店舗を運営されている企業様の店舗管理ツールとしても最適です。
AIが暴言を分析×通知「カスハラAIチェッカー」
音声検知AI「カスハラAIチェッカー」は、AI×音声解析×通知機能を組み合わせた、カスタマーハラスメント自動検知システムです。
室内に設置された専用マイクが、従業員と顧客の会話を常時モニタリングし、攻撃的な発言(怒声・罵声など)を検知すると、録音を開始し、スマホに即時通知します。
このAIソリューションは、以下のような「人と人とのやり取りが多い現場」に特におすすめです。
- 店舗のレジ・受付カウンター
- 医療機関の窓口
- 公共施設・市役所などのサービスカウンター
- 塾や教育施設の受付など
トラブルの早期検知と証拠の確保が可能になり、従業員の安心・安全な職場づくりに貢献します。
カスハラAIチェッカーの詳細はこちら迷惑客を未然に防ぐ「AI顔認証システム フェイスアラート」
「フェイスアラート」は、過去にトラブルを起こした人物を事前に登録しておくことで、再来店時にアラートを鳴らすことができるAI顔認証システムです。
自社開発のAIシステムを採用しており、特定の人物が来店した際にスマホへ通知する、回転灯を点灯させてスタッフへ警告するなど、導入現場に応じた柔軟なカスタマイズが可能です。
「一度トラブルを起こした人物が、何度も繰り返し来店する」そんな現場のお悩みを解決するのが、「フェイスアラート」です。
主な活用シーン
- 小売店・ドラッグストア・スーパーのレジや出入口
- 医療クリニック・薬局の受付
- 市役所・役場・役所内の窓口カウンター
- 教育施設(学習塾・専門学校)のエントランス
- 公共施設(図書館・スポーツセンター等)の受付エリア
- 無人店舗の管理や深夜営業時の安全対策
フェイスアラートは、スタッフの心理的負担や不安を軽減し、店舗や施設の安全性を高める有効なソリューションです。
フェイスアラートの詳細はこちら補助金制度を活用した導入までの流れ
STEP
01
日本防犯カメラセンターにお問い合わせ
まずはお電話かメールにてご相談ください。
LINEでのご相談も可能です。
機種やメーカーなど担当者からヒアリングさせていただきます。
※補助金・奨励金を活用した導入をご検討の方は、事前にご相談ください。
STEP
02
無料の現地調査
無料の現地調査を行い、カメラの設置位置の確認、必要なスペックや仕様のご相談を行います。
デモ機を使用したシミュレーションで、設置イメージを事前に確認していただくことも可能です。
STEP
03
お見積り
現地調査の内容をもとに設置プランを作成し、ご希望の方にはお見積りをご案内します。
ご契約いただいた場合、工事日を決定いたします。
STEP
04
お申し込み
サービスをご利用いただく場合、ご契約の手続きを進めさせていただきます。
契約内容や設置プランについて、しっかりとご説明いたしますのでご安心ください。
STEP
05
設置工事
お客様のご希望に合わせて、防犯カメラの設置工事を実施いたします。
土日の工事や夜間の工事にも対応可能ですので、ご希望の工事日程についてもご相談ください。
STEP
06
修理・メンテナンス
防犯カメラは設置後のメンテナンスが重要です。
修理や点検・メンテナンスなどのアフターサポートにもしっかり対応いたしますので、安心しておまかせください。
【まとめ】カスハラ対策は「今」こそ行動すべき
カスタマーハラスメントは、従業員の心身に深刻な影響を与えるだけでなく、企業経営にも重大なリスクをもたらします。
現場のトラブルとして片付けるのではなく、企業全体で取り組むべき社会課題として認識することが求められています。
このページでご紹介したように、現在では国による制度整備や自治体によるカスハラ防止条例の施行が進められており、さらに、AIやカメラなどの実践的な対策に対して補助金・奨励金制度もスタートしています。
なかでも、マイク付きの監視カメラやAIによる音声分析・顔認証システムを活用した「見える化・早期検知」はカスハラの抑止と対策において非常に効果的です
補助金や奨励金制度を活用して、監視カメラ設置やAIシステムの導入を検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
セキュリティの専門企業である弊社が、機器選定から設置工事、修理・メンテナンスまでを一貫して丁寧にサポートいたします。お問い合わせはお電話、メール、LINEにて承っております。