10円パンチとは？捕まらないって本当？
対策や修理代、見分け方を解説

10円パンチ（10円アタック/10円チョップ）の呼び方

「10円パンチ」とは、10円玉で車のボディを故意に傷つける悪質ないたずらの俗称です。

金属の硬さを利用して簡単に深い傷をつけられるため、被害報告が相次いでいます。

地域やメディアによっては、10円アタックや10円チョップと呼ばれることもあります。
呼び方は異なりますが、いずれも同じ被害を指しており、特徴的な線状のキズが残るのが共通点です。

それぞれの特徴は以下のとおりです。

• 10円パンチ：もっとも一般的な呼び方
• 10円アタック：関西地方で使われるケースあり
• 10円チョップ：ネット掲示板やSNSで散見される表現

どの呼び名であっても「車を10円玉で傷つける行為」を意味し、重大な犯罪行為であることに変わりありません。

なぜ10円玉で簡単に傷がつくのか？

10円玉は想像以上に硬いため、わずかな力でも車の塗装に深い傷をつけてしまいます。

車のボディは、鉄板の上に「下地→塗装→クリア層」といった薄いコーティングで守られています。

この塗膜は美観を保つには十分ですが、金属の摩擦には弱く、銅や亜鉛でできた10円玉の縁は鋭く塗装をえぐってしまうのです。

10円玉は硬さと形状の性質から塗装を削りやすい道具となり、簡単に車を傷つけられます。

器物損壊罪にあたる可能性と法律的扱い

10円パンチは単なるいたずらではなく、刑法第261条「器物損壊罪」にあたる可能性が高い犯罪行為です。

他人の所有物を故意に傷つけた場合、器物損壊罪として「3年以下の懲役または30万円以下の罰金・科料」が科されます。

参考：e-Gov法令検索「（器物損壊等）第二百六十一条」

車は高額な財産であるため、被害の程度によってはさらに重く扱われる場合もあります。

実際に想定されるケースとしては次のとおりです。

• 車体に線状の傷を残す＝器物損壊罪成立の可能性がある
• 修理費が高額になれば民事で損害賠償請求の可能性もあり

10円パンチはちょっとした嫌がらせで済まされるものではなく、刑事・民事の両面で責任を問われる重大な犯罪なのです。

ただ、10円パンチは誰でもどこでも、短時間で行われるため、泣き寝入りも珍しくありません。

犯人を特定するには、映像証拠となる防犯カメラが必須といえます。

特徴的な線キズのパターン

10円パンチによる傷は、一定方向に長く深い線状のキズが残るのが特徴です。

10円玉の縁をこすりつけることで、塗装表面から下地に至るまで一気に削り取られるため、浅いかすり傷とは異なる見た目になります。

また、故意に行われるため、直線的に連続する傷跡になるのも特徴です。

• ドアからフェンダーにかけて1本の長い直線傷
• ボディ全体をなぞるように複数本の平行線
• 指で触ると段差を感じるほど深く削られている

10円パンチの傷は「深く・長く・不自然な直線」が特徴で、日常的な摩耗や小石の跳ねとは明確に区別できます。

ただの擦り傷との違い

通常の擦り傷は、ドアをぶつけたり物にこすれたりしてできるため、浅く曲線的で、塗装表面の一部が軽く削れた程度で済むケースが多いです。

一方、10円パンチは硬貨の縁を意図的に押し当てるため、直線的で深いえぐれ跡が残ります。

それぞれの違いを比較すると以下のとおりです。

傷跡のパターンや深さを観察すれば、偶然の擦り傷か10円パンチによる故意の傷かは見分けられます。

犯人を特定するのは難しい理由

10円パンチの加害者を特定するのは困難で、被害届を出しても証拠不十分で終わるケースもあります。

この行為は一瞬で行われ、目撃者がいなければ証拠が残りにくいからです。

また、線状の傷だけでは誰がやったかを判断できず、修理工場や警察も加害者を特定できない場合がほとんどです。
実際に難しい理由としては以下が挙げられます。

• 犯行は数秒で終わり、現行犯逮捕はほぼ不可能
• 傷跡だけでは「誰がやったか」判断できない
• 駐車場や路上などは監視の目が少なく、証人が見つかりにくい

10円パンチは「犯人を直接特定できる証拠」を集めにくい犯罪です。

映像証拠がなければ解決は難しいため、対策のため防犯カメラやドライブレコーダーを設置するのがよいでしょう。

いたずらから愛車を守りたい方は、防犯カメラの導入を検討してみてください。

DIY修理（コンパウンド・タッチペン）の費用目安

浅い10円パンチの傷であれば、DIYで数千円程度※1で修復可能です。

しかし、深い傷や複雑な傷は業者依頼の方が無難でしょう。

DIY修理は「塗装を削らず、表面の傷を目立たなくする」レベルが前提になるためです。

コンパウンドやタッチペンを使うコスト自体は低めですが、うまく仕上がらなければ結局再度業者に頼むことになります。

DIY修理は「軽度の浅い線傷」に限定すればコストを抑えて対応できますが、傷が深かったり範囲が広かったりする場合は業者見積もりを併用するべきです。

板金塗装での修理費用

10円パンチの傷が深い場合、板金塗装による修理が必要となり、費用は 数万円単位※2 になることが一般的です。

板金塗装は、傷の研磨・下地処理・塗装・仕上げといった工程を踏むため、人件費や材料費がかかります。

DIYでは難しい「下地からの補修」が可能なため、仕上がりは新品同様になりますが、その分コストが上がります。

板金塗装は費用は高いものの、仕上がりの確実性と耐久性を考えれば「長く車を大切に乗りたい人」にとって安心できる選択肢といえます。

修理費用を保険でカバーできる場合

10円パンチの修理代は、条件を満たせば自動車保険（車両保険）でカバーできる場合があります。

車両保険には「一般型」と「エコノミー型（限定型）」があり、10円パンチのようないたずらや落書きによる損害は一般型で補償対象となるケースが多いです。

ただし、免責金額の設定や等級ダウンのリスクがあるため、利用には注意が必要でしょう。

保険を利用すれば高額な修理費用を抑えられる可能性があります。

一方で長期的なコスト増を防ぐため「修理代と等級ダウンによる負担」を比較して判断することが大切です。

警察に被害届を出した場合の対応

10円パンチの被害に遭ったら、まず警察に被害届を提出することが必要です。

ただし、証拠の有無で対応の進み方は大きく変わります。

10円パンチは「器物損壊罪」に該当する可能性が高いため、警察は届け出を受理します。

しかし、加害者を特定できなければ実質的な捜査が難しいため、映像や写真などの客観的証拠が重要です。

実際の流れとしては以下のとおりです。

1. 警察署や交番で被害届を提出する
2. 現場確認や聞き取り調査が行われる
3. 防犯カメラやドライブレコーダーの映像があれば捜査の手がかりに
4. 証拠が乏しい場合は「記録のみ」として保管されるケースも多い

警察は被害届を受け付けてくれますが、証拠がなければ犯人を特定できません。

映像や目撃情報を揃える必要があります。

防犯カメラ・ドライブレコーダーは必須

10円パンチのような一瞬で行われる犯罪を立証するには、防犯カメラやドライブレコーダーの映像がほぼ唯一の有効な証拠になります。

加害者は現場をすぐに立ち去るため、目撃者がいるケースは少なく、傷跡だけでは故意か偶然かを証明できません。

一方、映像があれば「犯行の瞬間」「加害者の特徴」を記録でき、警察に提出すれば捜査が進みやすくなります。

• 駐車場に防犯カメラを設置 → 犯行の瞬間を記録
• 車載ドライブレコーダー → 車の周囲を常時監視できる
• 映像を警察に提出すれば「被害届の裏付け資料」として採用されやすい

10円パンチの被害を防ぐだけでなく、加害者を特定し責任を追及するためにも、防犯カメラやドラレコは欠かせない存在なのです。

犯人が見つかった場合に請求できる損害賠償

10円パンチの加害者が特定された場合、刑事罰に加えて民事上の「損害賠償請求」が可能です。

器物損壊罪として処罰されるだけでなく、被害者は修理代や代車費用などの実損を加害者に請求できます。

民法709条の「不法行為による損害賠償請求権」に基づき、被害者は正当に補償を求めることができるのです。

参考：e-Gov法令検索「第七百九条（不法行為による損害賠償）」

• 板金塗装修理費用
• 修理期間中の代車レンタル費用
• 必要に応じて弁護士費用
• 悪質な場合は慰謝料が認められるケースもある

犯人が見つかれば修理費用や精神的損害の補填を求められる可能性があります。

犯人特定の可能性を上げるためにも、防犯カメラの導入を検討してみてください。

まずは警察に通報・被害届を提出

10円パンチの被害に遭ったら、最初にやるべきことは警察への通報と被害届の提出です。

器物損壊罪にあたる可能性があるため、被害届を出すことで正式な記録が残り、加害者が見つかった際にスムーズに立件や損害賠償請求につなげられます。

また、保険会社に申請する際も警察の受理番号が必要になるケースがあります。
実際の流れは以下のとおりです。

• 110番通報、もしくは最寄りの交番・警察署へ出向く
• 車両や被害状況を確認してもらう
• 被害届を提出し「受理番号」を控える
• 防犯カメラやドライブレコーダー映像があれば一緒に提出する

被害届を迅速に出すことで犯人特定の可能性を高められます。

警察・保険・修理の全ての対応を円滑に進めるためにもすぐに通報しましょう。

現場写真や映像を残す

10円パンチの被害を受けたら、修理に出す前に必ず現場の写真や映像を残しておきましょう。

証拠を残さずに修理してしまうと、警察への被害届や保険会社への申請がスムーズに進まなくなる恐れがあるためです。

写真や映像があれば「被害の実態」や「犯行の悪質性」を証明でき、加害者特定や損害賠償請求の裏付けにもなります。
証拠を残す際は、以下のポイントに注意してください。

• 傷の全体像（どの位置にあるか分かる写真）
• 傷のアップ写真（深さや長さが分かるもの）
• 犯行現場周辺の様子（駐車場・周辺環境）
• 防犯カメラやドライブレコーダー映像があれば保存

証拠写真や映像は被害を証明できるため、必ず記録しておきましょう。

保険会社へ連絡して対応を確認する

10円パンチの修理費用を抑えるためには、保険会社へ連絡して補償対象かどうかを確認する必要があります。

車両保険のプランによっては補償対象になる場合があるためです。

修理費用に保険を使う場合は、次の点に注意しましょう。

• 契約中の車両保険の種類
• 免責金額（自己負担額）がいくらか
• 修理費と保険利用による等級ダウンを比較して得かどうか
• 保険金請求に必要な書類（被害届受理番号・写真など）

結局のところ、保険会社に早めに相談して利用の可否を判断することが、余計な出費を防ぐ方法です。

修理業者に見積もりを依頼する

10円パンチの傷を直す際は、必ず複数の修理業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
同じ傷でも修理方法や塗装範囲によって金額が大きく変わるため、1社だけの見積もりでは適正価格が分かりにくいからです。

板金塗装で数万円かかるケースもあれば、部分補修で済む場合もあり、比較検討が費用を抑えるポイントになります。

いずれにしても、防犯カメラやドラレコの映像は必須です。

もし現状、駐車場や車両に防犯カメラ等がついていないなら、今すぐ導入を検討しましょう。

弊社トリニティーは、防犯カメラの専門業者で、駐車場への設置実績も豊富です。

お気軽にお問い合わせください。

車体カバーやガレージを活用する

車体カバーやガレージを利用することで、10円パンチの被害を物理的に防ぎやすくなります。

カバーで車体を覆えば、加害者が傷をつける際に「ひと手間」が加わるため犯行のハードルが上がります。

また、ガレージやカーポートを使えば視線や外的要因から車を守れ、いたずら防止と防犯の両面で効果的です。

ドライブレコーダーを設置する

ドライブレコーダーを設置することで、10円パンチのような一瞬の犯行を記録でき、証拠として残せます。

最新のドライブレコーダーには駐車監視機能があり、停車中の振動や人の動きを感知すると自動で録画が始まります。

これにより、加害者の特定や警察・保険会社への申請時に強力な裏付け資料となります。

実際に期待できる効果は以下のとおりです。

• 犯行の瞬間を映像で記録できる
• 車両周辺での不審な動きも検知可能
• 警察に提出すれば捜査が進展しやすい
• 保険金請求時に「被害の証拠」として有効

このように、ドライブレコーダーは、走行中の事故記録だけでなく駐車中の防犯でも役立つため、10円パンチ対策としても心強い装備といえます。

センサーライトやカーセキュリティの導入

センサーライトやカーセキュリティを導入することで、10円パンチのような犯行を未然に防げます。

加害者は暗所や人目のない場所を狙う傾向があるためです。

動きを感知して光るセンサーライトや、警報音を発するカーセキュリティを設置すれば「監視されている」「発覚するかもしれない」と思わせ、犯行意欲を下げる効果があります。

実際の活用方法としては以下のとおりです。

• 駐車場にセンサーライトを設置し、人が近づいた瞬間に点灯
• カーセキュリティで衝撃や接触を検知 → アラームで威嚇
• ダミーのセキュリティLEDを設置するだけでも心理的抑止効果あり
• ライト＋防犯カメラの併用で証拠収集と抑止を両立

このように、光や音で威嚇できるセンサーライトやカーセキュリティは、10円パンチを防ぐうえで重要です。

防犯カメラを駐車場に設置する

駐車場に防犯カメラを設置すれば、10円パンチの被害を「抑止」しつつ「証拠収集」にもつながり、最も効果的な対策のひとつになります。

加害者は自分の姿が記録されることを嫌うため、カメラがあるだけで犯行を思いとどまるケースが多いです。

さらに、実際に被害が発生しても映像が残っていれば警察への提出や保険会社への申請がスムーズになります。

防犯カメラを導入するメリットは以下のとおりです。

• 犯行抑止効果（心理的プレッシャー）
• 犯行の瞬間を録画し、加害者特定に活用できる
• 警察や保険会社に映像を証拠として提出可能
• 24時間監視できるため駐車中も安心

このように、防犯カメラは「未然防止」と「事後対応」の両方をカバーできるため、駐車場での10円パンチ対策として非常に有効です。