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街頭防犯カメラの犯罪抑止効果を高める設置方法

街頭防犯カメラの犯罪抑止効果

全国各地の自治体で、公共空間に防犯カメラが取り付けられる事例が増えています。
街頭防犯カメラに求められる役割は、警察の操作を協力する側面よりは、犯罪の抑止という側面が強いといわれています。
例えば、2008年に報告された「公共空間に設置される防犯カメラへの賛成態度」によると、繁華街やスーパーなど比較的匿名性の高い場所だけではなく、生活道路においても、防犯カメラの犯罪抑止効果や落書きなどのいたずら行為を抑止する効果が好意的に受け止められています。
上記の調査は全国の調査モニター登録者2,827名(25~54歳)を対象にweb上で質問に回答してもらったとのことで、地域性による差異は不明です。

このページでは、全国的に導入が進んでいる公共空間への防犯カメラについて、期待されている犯罪抑止効果をより高めるためにはどのように取り付けたらいいのかを、いくつかの調査報告書をまとめながらご紹介します。
街頭防犯カメラには各自治体が補助金や助成金を整備しています。
効果的に導入することで安心・安全なまちづくりに活用していただけたらとてもうれしく思います。

街頭防犯カメラに期待されていることは?

防犯カメラの犯罪抑止効果への期待

公共空間に取り付けられる防犯カメラには、犯罪捜査への協力よりも、犯罪抑止効果の方がより大きく期待されているようです。
冒頭でご紹介した報告書(※)によると、繁華街・駐車場・スーパー・商店街・公園・生活道路で活用される防犯カメラについて、どのエリアにおいても半数以上の割合の方が防犯カメラには犯罪抑止効果が期待できると同意しており、
一方で、警察の犯罪検挙率アップが期待できることに同意した方の割合は30%前後、
また、防犯カメラ導入のリスクともいえる地区のイメージが悪くなる、等、印象悪化の影響を心配した方の割合は10%未満、プライバシーが侵害されることを心配した方の割合は、20%未満という結果でした。

この結果から読み取るとすると、繁華街においても、また、プライベート空間に近い生活道路においても、人々が街頭防犯カメラにより強く期待しているのは犯罪の抑止や犯罪が発生するという不安感からの精神的な解放であることが推測されます。
本報告は全国へのランダムな調査であるため、もちろん地域によって、また調査対象によって結果は異なるかとは思いますが、人々が街頭防犯カメラに期待しているのは警察への捜査協力という犯罪発生後の解決策ではなく、犯罪を未然に防ぐことや日常生活における不安からの解放という抑止効果であるという調査結果は、1つの判断基準として参考にできるかと思います。

(※)参照:「公共空間に設置される防犯カメラへの賛成態度

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街頭防犯カメラの犯罪抑止効果を高めるには

街頭防犯カメラの導入台数

防犯カメラの導入は増加しています。
グラフからわかる通り、警察が運営する街頭防犯カメラの導入台数は、都道府県ベースでも防犯カメラの導入台数ベースでも右肩上がりで延びています。
さらに近年は 警察が管理運営する街頭防犯カメラだけでなく、自治会など地域の民間団体が取り付ける街頭防犯カメラや、事業主が取り付ける防犯カメラも増えていることは、みなさまも感じ取っていらっしゃるかと思います。
防犯カメラは、導入台数の増加と併せて、 期待値の大きい犯罪抑止効果を高めるためにはどこに・どのように防犯カメラを取付けるべきなのか、また、犯罪の種類別に犯罪抑止効果に違いがあるのかどうかなど、有効な運用方法への調査も重ねられています。
下記では、いくつかの報告資料をもとに、街頭防犯カメラが高い犯罪抑止力を発揮する効果的な取付方法をご紹介します。

街頭防犯カメラの犯罪抑止効果を高めるには:
街頭防犯カメラの導入場所

繁華街に設置された街頭防犯カメラの効果検証」では、犯罪が多発している繁華街と、犯罪抑止効果を狙いたい子どもの通学路とに街頭防犯カメラを取付けています。
繁華街の方では過去に犯罪が発生したことのある場所が映るように防犯カメラを取付け、通学路の方では犯罪が発生したことがなく犯罪が発生してほしくない場所へ防犯カメラを取付けました。

結果として、それぞれの調査エリア全体の犯罪発生件数にプラスの変化があったのは繁華街の方でした。

この結果から読み取れることは、街頭防犯カメラの犯罪抑止効果を高めるためには過去に犯罪が発生したことのある場所に防犯カメラを取付けるべきだということです。
同一犯人が犯行に及ぶ際に犯行が抑止されるのか、または、犯人が変わっても犯罪が発生する場所は変わらないのか、詳細についてはわかりませんが、過去に犯罪が発生した場所に街頭防犯カメラを取付けることはその場所での犯罪の再発が防げるのみならず、周辺での犯罪抑止効果も得られるという調査結果となっています。

街頭防犯カメラの犯罪抑止効果を高めるには:
抑止効果を狙う犯罪の種類

繁華街に設置された街頭防犯カメラの効果検証」では、街頭防犯カメラが抑止効果を発揮する犯罪はひったくり・自転車盗であると報告されています。
逆に粗暴犯に対しては、街頭防犯カメラによる犯罪抑止効果確認されなかったとのことです。
街頭防犯カメラによる窃盗犯への犯罪抑止効果は、「駐車場に設置する防犯カメラ等の効果及び利用者等の態度」でも、街頭防犯カメラが駐車場での車上荒らしに効果的だったことを伝えています。

粗暴犯の犯罪抑止効果を高めるためには街頭防犯カメラだけではなく道路整備や人の目、警察・警備員の見回りなどを組み合わせる必要があること、一方で、窃盗系の犯罪に対しては街頭防犯カメラのみでも犯罪抑止効果を発揮するという調査結果でした。

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街頭防犯カメラの犯罪抑止効果を高めるには:
周囲への波及効果

街頭防犯カメラを取付けることは、周囲に対して2種類の影響があるといわれています。
1つは「利益の拡散」と呼ばれる効果で、街頭防犯カメラを取付けるとスポット的な犯罪抑止だけではなく周囲の犯罪発生件数も減少する現象です。
もう1つは「地理的転移」と呼ばれ、街頭防犯カメラを取付けることでスポット的な犯罪発生件数は減少しても、近距離エリアでの犯罪発生件数が増加し、一定エリアで観測した場合、犯罪発生件数に大きな差が見られない現象です

防犯カメラの設置による窃盗犯罪の抑止効果について」で報告されている内容によると、「利益の拡散」と「地理的転移」どちらの現象が起こりやすいかは犯罪の種類によってざっくり分けることができ、住宅関連窃盗(空き巣)に対しては「地理的転移」が、路上窃盗や自動車関連窃盗に対しては「利益の拡散」がみられたとのことです。

住宅関連窃盗(空き巣)対策としては、近隣で街頭防犯カメラが取り付けられたとしても自宅への犯罪抑止効果が高くは見込めない、つまり、自宅の空き巣対策にはピンポイントの位置に防犯カメラ取り付ける必要があること、
一方で、ひったくりや車上荒らしに対しては、地域に街頭防犯カメラを取付けることで周囲への防犯対策につながるという調査結果でした。

このページでは街頭防犯カメラの犯罪抑止効果を高める方法についてまとめました。
街頭防犯カメラは、繁華街においても、また、生活道路においても、起こってしまった犯罪への捜査協力よりは犯罪抑止効果が期待されていると冒頭でご紹介しましたが、同じ報告書内には、男性よりも女性の方が街頭防犯カメラの導入に賛成する割合が多いという結果も記載されていました。
全国的に前例のないような犯罪が増えている中で、身の危険を感じることなく、安心して生活できる地域環境を求める人々の思想が顕れていると推察されます。

防犯カメラには犯罪抑止効果があることは広く知られていますが、過去に犯罪が発生したか所に取り付けること、ひったくりや車上荒らしを防ぐためにはエリアごとに一定間隔で街頭防犯カメラを取付けることが有効であるなど、精緻に導入計画を建てることで犯罪抑止効果が高められるという調査結果をいくつかご紹介しました。
本ページの内容はいくつかの調査結果をまとめたもので不十分・偏りのある内容ではありますが、街頭防犯カメラを導入される際にはご参照いただき、より有効な街頭防犯カメラ活用に活かしていただけたらと思います。