その空き家、燃えたら誰の責任?空き家火災・放火のリスクと対策
「実家をそのままにしているけれど、大丈夫だろうか」
空き家火災のニュースを目にするたび、そんな不安がよぎる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
空き家のリスクを考えるうえで見過ごせないのが、放火の存在です。火災のおよそ10件に1件は放火または放火の疑いによるもので、人の目が届かない空き家は標的として選ばれやすい条件がそろっています。
この記事では、空き家が狙われやすい理由と所有者に生じる責任、そして遠方に住んでいても実践できる「炎センサー」による早期検知の方法をご紹介します。
空き家の火災は他人事ではない...見えないところで進むリスク
全国の空き家は、約900万戸ともいわれています。その中には、長年手つかずのまま放置されている住宅も少なくありません。
空き家の火災が深刻化するのは、「火災が起きやすい」ことと「「気づかれにくい」ことが同時に成り立ってしまうためです。
空き家で火災被害が大きくなりやすい3つの理由
- 1.気づく人がいない
- 人が住んでいれば、焦げ臭さや異音で異変に気づける可能性があります。
しかし空き家では、その「気づく人」が現場にいません。近隣の誰かが見つけるまで、火に気づかれないまま時間が過ぎるおそれがあります。 - 2.老朽化した木造は火の回りが速い
- 長年放置された木造住宅では、木材が乾燥している場合があります。
そこへ雨漏りや害虫被害による傷みが加わると、一度火がついた際に建物全体へ広がりやすくなるといわれています。 - 3.燃えるものが放置されている
- 敷地内の枯れ草、古新聞、粗大ゴミ、物置に残された灯油缶。
管理の手が行き届かない空き家では、こうしたものが放火犯にとって好都合な「燃料」になってしまうことがあります。
データで見る放火の実態 火災の10件に1件は放火・放火の疑い

放火は減っているという話を耳にすることもありますが、実際の数字はどうなっているのでしょうか。
『令和7年版 消防白書』によると、放火による出火件数は2,377件(全火災の6.4%、対前年比4.7%減)。これに「放火の疑い」を加えると3,904件となり、全火災の10.5%を占めています(対前年比5.0%減)。
件数としては減少傾向にあるものの、火災のおよそ10件に1件は放火または放火の疑いという水準です。
そのうえで、空き家の所有者に知っておいていただきたいのが、下記の2点です。
①発火源はライターが最多(1,090件)
放火および放火の疑いによる火災を発火源別に見ると、ライターによるものが最も多くなっています。
放火犯は特別な道具を持ち込むのではなく、手ぶらで訪れライターでその場にある燃えるものに火をつけているケースが多いとみられます。敷地内に放置された枯れ草やゴミが燃料として狙われやすくなります。
②出火が最も多いのは16時台
時間帯別の出火件数を見ると、最も多いのは16時台です(不明を除く)。
「放火は深夜に起きるもの」という印象をお持ちの方もいますが、人通りが減りはじめる夕方こそ注意が必要です。
そして空き家の場合、日中であっても建物は無人です。時間帯を問わず人の目が届かない。この状態が続く点に、空き家ならではの難しさがあります。
人の目が届きにくい空き家は、「見つかりにくい」「逃げやすい」「燃えるものがある」という、放火犯にとって好都合な条件がそろった場所になりがちです。
放火犯に狙われる空き家の共通点【セルフチェック】
放火犯は、どこでもいいから火をつけるわけではありません。捕まりにくく、燃えやすい場所を選ぶ傾向があります。
お持ちの空き家は、いくつ当てはまるでしょうか。以下のチェックシートでぜひご確認ください。
放火リスク セルフチェックシート【8項目】

- 敷地内にゴミ袋、古紙、枯れ草、木材などが置いてある
- 庭木や雑草が伸び放題で、外から敷地内が見えにくい
- 夜間、周囲に街灯がなく真っ暗になる
- 建物の裏手や勝手口など、人目につかない死角がある
- 窓ガラスが割れている、鍵のかかっていない出入口がある
- 郵便物やチラシがポストからあふれている
- 物置や軒下に灯油缶・スプレー缶が残っている
- 見回りは年に数回程度で、日常的に人の出入りがない
とくに「燃えるものがある」「人目につかない」の2つが重なっている空き家は、リスクが高まります。
まず取り組みたい、基本の放火防止対策
名古屋市消防局は、放火火災を防ぐうえで「放火されない環境づくり」に努めることが重要なポイントだとしています。
空き家に当てはめると、次のような対策が挙げられます。
- 家の周囲に燃えやすい物を置かない(枯れ草、古紙、木材、粗大ゴミなど)
- 投棄されたゴミは放置せず片づける
- 屋外灯を点灯し、暗がりをつくらない
- 物置や車庫には必ず鍵をかける
- 建物への侵入防止措置をとる(割れた窓の補修、施錠の確認)
- 隣近所で声をかけ合う
- 防災機器を活用する(センサー付ライト、センサー付ブザー、監視カメラなど)
同市では、監視性を高める手段として防災機器の活用を推奨するほか、地域ぐるみの巡回・広報活動も放火防止に有効だと案内しています。
参考:名古屋市「放火火災を防止するために」もし空き家から出火したら?所有者に残る責任と負担
「自分の家が燃えるだけなら」と考える方もいますが、火災で懸念されるのは周囲への延焼です。
隣家を巻き込んでしまった場合、所有者はどこまで責任を負うのでしょうか。
ここでは、失火責任法・建物の管理責任・保険と税負担という3つの側面から見ていきます。
失火責任法と「重過失」というリスク
日本には「失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)」があり、通常の失火であれば、隣家への損害賠償は原則として問われないとされています。
ただし、例外もあります。重大な過失(重過失)が認められる場合です。
管理を著しく怠り、危険な状態を放置していたと判断されれば、重過失を問われる可能性は否定できません。
窓が割れたまま、可燃物が山積み、施錠もされていない。そうした状態が長期間続いていた場合、「予見できたのではないか」と評価されるおそれもあります。
建物そのものの管理責任
民法717条は「放火そのもの」を裁くルールではありません。建物の管理状態が原因で周囲に被害が出たときの責任を定めたもので、火災もそのひとつにあたります。
責任を負うのは、まず占有者です。占有者が必要な注意をしていた場合は、所有者が責任を負います。
空き家は所有者がそのまま占有者であることも多く、管理責任は思っているより重くなりがちです。
火災にこの規定がどこまで適用されるかは、専門家の間でも判断が一様ではありません。ただ、建物を放置しておいてよいわけではない、という点は変わりません。
空き家は火災保険にも入りにくい場合がある
見落とされがちですが、誰も住んでいない建物は住宅物件として扱われないのが一般的です。
「一般物件」として保険料が高くなったり、管理状態によっては引き受けを断られたりするケースもあります。
「保険に入っているから大丈夫」と思っていたら、空き家になった時点で条件が変わっていた、ということも起こり得ます。
また、空家等対策特別措置法にもとづき、自治体から「管理不全空家等」「特定空家等」として勧告を受けることがあります。改善しないままでいると固定資産税の住宅用地特例から外れ、税負担が増えるおそれがあります。
※法的な判断や保険の取り扱いは、個別の事情によって異なります。詳細は弁護士・保険会社など専門機関にご確認ください。
無人の空き家を24時間見張る「炎センサー」とは
こうしたリスクに対して、遠方の所有者でも検討しやすい選択肢のひとつが炎センサーです。
空き家の難しさは、異変が起きても気づく人が現場にいない点にあります。
炎センサーは、その「気づく役割」を代わりに担い、時間帯を問わず火の気を見張り続けます。
煙でも熱でもなく、炎そのものを検知する
炎センサーは、炎が発する紫外線をとらえて火災を検知する機器です。
一般的な火災報知器とは、検知の考え方が異なります。
| 種類 | 検知するもの | 特徴 |
|---|---|---|
| 煙感知器 | 空気中の煙の粒子 | 湯気やほこりでも作動することがある |
| 熱感知器 | 周囲の温度や温度の上昇 | 熱が伝わるまで時間がかかる |
| 炎センサー | 炎から放射される紫外線 | 炎が見えれば直接とらえられる |
煙感知器も熱感知器も、煙や熱が感知器のある場所まで「届いて」はじめて反応します。
一方で炎センサーは、離れた位置から炎そのものを直接とらえます。
どのくらい離れた炎まで検知できる?
炎センサーが検知できる距離は、炎の大きさによって変わります。竹中エンジニアリングの炎センサー「FS-6000」の場合、次の数値が目安とされています。
| 炎の大きさ | 検知距離の目安 |
|---|---|
| ライター程度(炎高約7cm) | 約10m |
| 炎高約60cm | 約30m |
小さな炎ほどセンサーを近くに設置する必要はありますが、それでもライターの火を10m先から検知できる計算です。
建物の裏手や物置まわりなど、人目につきにくい場所をカバーできる距離です。
煙が充満する前、熱が上がる前の段階で検知できる可能性がある点も、空き家では大きな意味を持ちます。
無人の建物では、煙や熱が誰かに気づかれるまでに時間がかかるためです。
警告音が「見つかった」と思わせる
炎を検知すると、その場で警告音や音声メッセージが鳴ります。
これは空き家において、2つの役割が期待できるポイントです。
①放火をその場で中断させる

放火は短時間で行われる犯行といわれます。放火犯が最も避けたいのは、人に見られることや騒ぎになることです。
着火した直後に警告音が鳴り、放火犯に「見つかった」と感じさせることで、犯行をその場で中断させる効果が期待できます。
②近隣の人が異変に気づく

静かな住宅地で警告音が鳴れば、近隣の方が異常に気づき、通報につながる可能性もあります。これまで「誰も気づかない家」だった空き家が、「異変があれば音で知らせる家」に変わります。
火災の早期発見と放火の抑止、その両方を1台で担える点が炎センサーの強みです。
※炎センサーは炎に含まれる紫外線を検知する機器であり、消防法上の火災報知設備ではありません。検知距離は製品の仕様や設置場所の条件(障害物・天候・光環境など)により異なります。
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空き家におすすめの炎センサーと、AIカメラとの組み合わせ
竹中エンジニアリング 炎センサー「FS-6000」

FS-6000は、30m先の炎を瞬時にキャッチする超高感度の炎センサーです。
炎を検知すると、「ここは火気厳禁です。所定場所以外での火気の使用はかたくお断りします。」といった音声メッセージや警報音で、その場で強く警告します。
特徴
- 音声報知2種・警報音1種から選択できる
- 防雨構造で屋外にも設置できる
- 4段階の検知タイマーと感度ボリュームで、環境に合わせた調整ができる
人目につきにくい建物の裏手や勝手口まわり、物置・車庫の周辺、軒下など、放火の標的になりやすい場所への設置に向いています。
炎センサー+AIカメラなら、映像記録やスマホ通知が可能
炎センサーで検知するだけでなく、その様子を映像として記録したい、写真付きの通知でスマホからも気づけるようにしたい。
そうお考えの方には、AI防犯カメラとの組み合わせがおすすめです。
AIカメラでできること
- 敷地内に入ってきた人を検知して、音や光でその場で威嚇する
- 検知した映像を画像付きでスマートフォンに通知する
- 映像はそのまま証拠として記録される(夜間カラー撮影も可能)
炎センサーが「火に気づいて周囲に知らせる」役割を、AIカメラが「人に気づいて記録する」役割を担います。
この2つを組み合わせることで、遠方にいながら気づく・抑止する・記録するという体制に近づけられます。
放置された空き家では、放火だけでなく不法侵入や不法投棄が起きることもあります。映像が残っていれば、警察への相談や近隣への説明もしやすくなります。
なおAI防犯カメラはレンタルプランなら初期費用0円・月々定額料金でご利用いただけるため、まとまった予算を組みにくい場合でも無理なく始められます。
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空き家火災に関するよくある質問
Q.1 空き家で火災が発生する原因は何ですか?
見過ごせないのが放火です。
『令和7年版 消防白書』によると、放火と放火の疑いを合わせた件数は全火災の10.5%を占めています。
人の目が届かない空き家は、標的として選ばれやすい条件がそろっています。
このほか、老朽化した電気設備の漏電やたき火の飛び火などもありますが、いずれも無人のため発見が遅れやすい点が空き家特有のリスクです。
Q.2 放火に狙われやすい家の特徴は?
「燃えるものがある」「人目につかない」の2つが重なっている家は、リスクが高まりやすい状態といえます。
具体的には、敷地内にゴミや枯れ草が置いてある、庭木が伸び放題で外から見えにくい、夜間に街灯がなく暗い、建物の裏手に死角がある、施錠されていない出入口があるといった条件です。
詳しくは放火リスク セルフチェックシート【8項目】でご確認いただけます。
Q.3 空き家に放火された場合、所有者は責任を問われますか?
放火の責任は、火をつけた犯人にあります。放火されたこと自体で、所有者が当然に賠償責任を負うわけではありません。
ただし、管理を著しく怠っていたと判断される場合は事情が変わります。
窓が割れたまま、可燃物が山積み、施錠もされていないといった状態が長期間続いていれば、建物の管理状態そのものが問われる可能性は否定できません。
※法的な判断は個別の事情によって異なります。実際の責任範囲については弁護士など専門機関にご確認ください。
まとめ 空き家の火災対策は「気づける仕組み」から

空き家が火災・放火の標的になりやすい理由と、所有者に生じる責任、そして遠方からでも実践できる炎センサーによる早期検知の方法をご紹介しました。
この記事のポイント
- 火災のおよそ10件に1件は放火または放火の疑いによるもの
- 発火源はライターが最多。敷地内の枯れ草やゴミが「燃料」として狙われやすい
- 管理を著しく怠っていた場合、重過失を問われる可能性は否定できない
- 空き家は火災保険に入りにくく、勧告を受ければ税負担が増えることもある
- まずは可燃物の撤去と施錠から。そのうえで炎センサーが早期検知と抑止を担う
空き家は、時間帯を問わず人の目が届きません。だからこそ、火が小さいうちに気づける仕組みが備えになります。
あわせて映像として記録したい、侵入を検知したらスマホに通知してほしいという方には、AIカメラとの組み合わせがおすすめです。高性能なカメラを初期費用0円の月額制レンタルプランで導入できます。
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