湿度計があてにならないのはなぜ？
誤差の理由と正確に測る方法・おすすめ湿度計まで徹底解説

湿度計がバラバラな値を示すのは普通？

複数の湿度計が多少バラバラな値を示すのは、ある程度普通のことです。

なぜなら、湿度計は繊細なセンサーを使用しており、個体ごとに差があるからです。

たとえ同じメーカーの同じ製品であっても、隣同士に並べて全く同じ数値が出るとは限りません。

工業用の精密機器でない限り、家庭用製品では数パーセントのズレは許容範囲として出荷されています。

この現象を理解するためのポイントは以下のとおりです。

完全に一致することは稀であると割り切ることも必要です。

湿度計の精度はそもそも低い？

市販の一般的な湿度計は、精度が高いとは言えないのが実情です。

多くの家庭用モデルは±5%前後の誤差を許容しており、測定環境によってはさらにズレが広がることもあります。
そのため、複数の湿度計を比べると差が生まれやすいのです。

湿度計によって計測値に差が生まれる理由は次のとおりです。

こうした理由から、家庭用湿度計は、ある程度の誤差が前提です。

そのため、「この湿度計、あてにならないな」と感じるシーンがあってもおかしくはありません。

アナログ・デジタルで誤差が出る仕組み

アナログとデジタルでは湿度を検知する仕組みが異なるため、誤差の出やすさにも特徴があります。

どちらも完璧ではなく、構造上ズレが生じやすいポイントを持っています。

それぞれの特徴を見てみましょう。

このように方式ごとのクセを知ることで、どの湿度計が正確に見えるのかを判断しやすくなります。

安価モデル（100均・低価格品）にありがちな精度の問題

100均や低価格の湿度計は、精度を求める用途には向かない傾向にあります。

センサーの品質が控えめで、校正精度も工業用ほど厳しくないためです。
とはいえ、目安として使う分には十分役立ちます。

使用する場合、どのような問題が起きやすいのか理解しておきましょう。

こうした理由から、正確性を重視するなら、一定の価格帯以上の湿度計を選ぶほうが安心です。

設置場所が不適切

湿度計が正しく測れない原因の1つが置き場所です。
湿度は部屋の中でも変動するため、不適切な場所に置くと数値がズレてしまいます。

正確に測るなら、環境の影響を極力避ける必要があります。
誤差が発生しやすい場所は、以下のとおりです。

これらを避け、床から1.2〜1.5mの中央付近に置くことで、より安定した湿度が測れます。

湿度センサーの経年劣化

湿度計は使えば使うほど精度が落ちる機器です。

デジタル湿度計は、センサー内部の素材が時間とともに変質し、反応が鈍くなり数値がズレていきます。

そのため、数年使用すると誤差が目立つケースも珍しくありません。
劣化が進むと発生する不具合を以下にまとめました。

一般的に、家庭用湿度計の寿命は 2〜5年と言われます。
長く使っている場合は、買い替えや校正を検討しましょう。

温度の影響で数値が変わる仕組み

湿度計は温度の影響を強く受けるため、周囲の温度が変わるだけで表示値が変動します。

これは、空気中に含まれる水分量が温度で大きく変わるためです。
その結果、湿度計が温度変化に影響されやすく、誤差が生まれます。

では、温度が変わると何が起こるのでしょうか？

なお、ここでいう相対湿度とは「空気が含める水分量の上限に対して、今どれだけ水分を含んでいるか」を示す割合のことです。
温度によって上限が変化するため、湿度も上下します。

このため、直射日光・暖房・家電の熱が当たる場所では、湿度が正しく測れなくなりやすいのです。

デジタル湿度計特有の誤差

デジタル湿度計は便利な一方で電子センサー特有の誤差が生じやすい仕組みを持っています。

センサーの個体差や反応速度、温度の影響などが重なることで、表示値が微妙にズレることがあります。

具体的にどのような誤差が起きるのか、もう少し掘り下げてみましょう。

デジタルは見やすくて扱いやすいものの、仕組み上、完璧な数値ではないことを理解しておくと安心です。

デジタル湿度計の校正はできる？

デジタル湿度計は、基本的にユーザーが細かく校正できない構造になっています。

ただし、正確さを取り戻すために試せる対処法はいくつかあります。

デジタル湿度計でできることは次のとおりです。

SNSでは、“湿度計があてにならないと考えるのではなく、「この湿度計は常に5%高く出る」と覚えておき、読み替える。”というユニークな対応をしている方もいました。

完全な校正は難しいものの、ズレの傾向を知って使うことで十分に実用的になります。

アナログ湿度計を自宅で校正する手順

アナログ湿度計は構造がシンプルなため、自宅でも精度を整えられます。

基本の流れは湿度が安定した環境を作り、そこに針を合わせるというものです。

このあと紹介する正確な方法（塩化ナトリウム飽和溶液）と簡易的な方法（湿った脱脂綿）のどちらでも校正が可能です。

精度表記の読み方

湿度計の精度を見極めるうえで、重要なのがパッケージや仕様にある「精度表記」です。

ここを理解しておかないと、見た目だけで選んでしまい、あとで誤差の大きさに悩むことになりかねません。

まずは、精度表記の意味を正しく押さえましょう。

チェックすべきポイントは以下のとおりです。

「±5%以内」なら家庭用として十分、「±2〜3%」なら高精度モデルと判断できます。

アナログとデジタル、正確なのはどっち？

アナログとデジタル、どちらが正確なのかはよくある疑問です。

結論としては、どちらにもメリット・デメリットがあり、用途によって適したタイプが異なります。

構造の違いを知ると、自分に合う湿度計が選びやすくなります。
特徴を比較すると次のとおりです。

信頼性を重視するなら、精度表記の厳しい機種を選びましょう。

スマホアプリで湿度は測れる？

スマホアプリで湿度を測れると思われがちですが、結論として“正確な湿度は測れない”場合がほとんどです。

多くのスマートフォンには湿度センサーが搭載されていないため、アプリはインターネット上の気象データなどを参照して表示していることが多いからです。

スマホ湿度アプリの特徴は以下のとおりです。

正確に測りたい場合は、専用の湿度計を使うのがベストです。

100均湿度計の実力（どれくらい参考になる？）

100均の湿度計は気軽に購入できますが、精度に関しては目安として使う程度と考えるのが適切です。

多くの場合、センサーの品質や校正精度が抑えられており、高精度モデルと比べると数値が安定しにくい傾向があります。

特徴をまとめると次のようになります。

とはいえ、おおまかな湿度の傾向を知るには十分役立ちます。

正確さを求める場合は、一定の価格帯以上の湿度計を選ぶと安心です。

タニタ・エンペックスなど主要メーカーの特徴比較

湿度計はさまざまなメーカーが商品を出しています。

ここでは、主なメーカーの特徴を紹介します。

名のあるメーカーであれば、表記もしっかりしており、選択しやすいです。