登下校する児童の安心・学区の安全に
街頭防犯カメラの活用
学区内の子どもが毎日登下校で使用する通学路に、防犯カメラを導入する自治体が増えています。
背景には、児童を狙った犯罪の陰湿化、また、全体的には道路上での犯罪の認知件数は減少しているものの、13歳未満の子どもを狙った犯罪の発生件数がいまだ横ばいで推移しているという課題があります。
学区内における子供を狙った陰湿な犯行に対抗するためには、犯行を未然に防ぐため抑止力の強化、また、万が一事件が起こった場合にはできるだけ早く犯人を捕まえるための仕組みづくりが欠かせません。
防犯カメラは、犯罪抑止力の強化にも、証拠映像の確保にも、有効です。
このページでは、登下校中の児童を狙った犯罪の認知状況、そして、自治体や町内会が学区内に街頭防犯カメラを導入する際にチェックするべき防犯カメラシステムの機能・性能や取り付け時のポイントをまとめました。
登下校する学区内の児童を狙った犯罪の現状
学区内の子どもが登下校中に狙われている状況についてまとめます。
令和元年版の警察白書では、道路上で13歳未満の犯罪認知件数の減少幅が小さいこと、また、13歳未満の子どもが被害者となるのは登下校中の時間が多いことが発表されています。
依然として減少幅の低い、13歳未満の犯罪認知件数
>>「令和元年版警察白書」より
グラフは、令和元年に発表された警察白書から引用した、道路上における身体犯(※)の認知件数の推移です。
全体的に見て身体犯は減少しているものの、減少の幅は、13歳未満においては少なくなっているのが分かります。
(※)殺人、暴行、傷害、強制性交等、強制わいせつ、逮捕監禁及び略取誘拐のうち、道路法第3条の一般国道、都道府県道若しくは市町村道又は一般交通の用に供する私道で行われたもの
登下校中の時間帯に増える犯罪認知件数
>>「令和元年版警察白書」より
グラフより、13歳未満の子どもが被害者となる犯罪は、7時台や8時台、また、15時から18時と、学区の子どもが登下校をする時間帯に集中的に発生している状況が分かります。
登下校中、特に、友人と分かれ1人になるときに犯人に狙われやすいという報告もあります。学区内の子どもたちが安心して登下校するために、犯罪者を寄せ付けない、また、犯罪を起こさせない環境整備が切実に求められていることがわかる結果です。
学区内の児童を守る登下校防犯プラン
2018年5月、新潟市で下校途中の女子児童が殺害されるという事件を受け、政府は登下校中の児童の安全を確保するために「登下校防犯プラン」を取りまとめ、関係省庁で各種取り組みが実施しています。
「登下校防犯プラン」では、地域の連携強化、通学路の合同点検の徹底及び環境整備・改善、不審者情報等の共有・対応、見守りの活性化、子どもの危険回避対策の促進という5つの柱の元、それぞれについて担当省庁が中心となって取りまとめています。
学区内の児童を守る登下校防犯プランにおける防犯カメラの位置づけ
登下校防犯プランの中で、防犯カメラは、登下校をする児童が通る道の環境整備・改善のために活用できるとされています。
登下校をする児童は、集団から離れた後の「1人区間」や、学区内で大人の目が届きにくい「見守りの空白地帯」という登下校路の危険個所において特に犯罪被害にあうリスクが高まります。
登下校防犯プランでは、登下校路の危険個所を的確に把握し、防犯カメラを配置することで、学区の安全を強化するものとしています。
街頭防犯カメラは、登下校する児童だけでなく
学区全体に安全をもたらす防犯ツール
「最近学区で不審者が多い」「子供の友達が登下校中に知らない人から声をかけられた」という話を聞くことが度々あります。
その話は、恐怖感と共に瞬く間に登下校する児童の親たちはもちろん、学区内の大人たちに共有され、ひろがっていきます。
どこの地域においても、学区内の子どもを守るという地域住民の意識、学区の防犯強化に対しては関心が高いと感じています。
当たり前の日常、普段と変わりない様子は、誰にとっても失うわけにはいかないものです。
だからこそ、学区内のリスク管理、子どもが安心して登下校できる環境整備は、登下校する子供を持つ親はもちろん、学区内の大人が安心して生活するためにも欠かせません。
登下校中の児童を守るために
学区へ防犯カメラを導入している事例
登下校する児童を守るために、各自治体は学区への防犯カメラ導入を進めています。
下記に、登下校路への防犯カメラ導入に積極的な自治体の例をご紹介します。
世田谷区
登下校区域防犯カメラの設置例
世田谷区では、平成28年度から30年度の3年間で学区の通学路に310台の防犯カメラを導入しており、さらに、通学路だけではなく学区内の登下校区域(自宅から学校まで登下校の際に通行する道路)についても令和元年度おから令和2年度にかけ100台の防犯カメラを配置します。
世田谷区の登下校区域防犯カメラの設置では、東京都の補助制度が活用されています。
- (世田谷区)登下校区域防犯カメラの取扱い等について
- 設置箇所は、警察署や学校と協議のうえ、世田谷区教育委員会が設置しています。
- モニター画面はありません。(設置する防犯カメラはモニター監視ができない機種です)
- 録画した映像は法令の規定に基づいた場合のみ利用し、その他には利用しません。
- 登下校区域防犯カメラは道路を撮影するよう画角を調整しています。
- 登下校区域防犯カメラの設置場所は、防犯上の配慮から公表していません。
- 登下校区域防犯カメラは世田谷区条例等に基づき、世田谷区教育委員会が運用しています。
参考:世田谷区ホームページ
>>登下校区域防犯カメラの設置について
富士吉田市
学区への街頭防犯カメラ導入例
富士吉田市は、山梨県ではじめて通学路へ防犯カメラを導入しました。
2018年に新潟県でおきた登下校中児童の殺害事件や、大阪府北部の地震で児童が登下校路のブロック兵の下敷きになって死亡した事件などを受け、富士宮市では学区内への防犯カメラ導入が検討されてきていました。
山梨県内全体では、映像の管理や費用、プライバシー配慮などの課題から学区内・登下校路への防犯カメラ導入は進んでいない状況の中、富士吉田市が先陣を切った形です。
参考:山梨県ホームページ
>>街頭防犯カメラの運用を開始しました
富士宮市
登下校する児童を守るための学区への防犯カメラ設置支援
富士宮市では、登下校中の児童を狙った犯罪を防止するため、学区に通学路防犯カメラを導入する自治会(区)に対して補助金を交付しています。
自治会(区)が学区の登下校路へ防犯カメラを配置する際には、ガイドラインに沿った運用が求められます。
参考:富士宮市ホームページ
>>通学路防犯カメラ設置費補助金(自治会(区)対象)
茨木市
学区への防犯カメラ導入で登下校中の児童を守る取り組み
茨木市では、学区の児童を守るため、通学路・登下校路へ320台の防犯カメラを設置する事業を実施しています。
茨木市は防犯カメラシステムの有効な運用のため、茨木警察署と協定を締結しており、市職員では迅速な対応が難しい夜間や休日等緊急を要する犯罪捜査への協力体制を整えています。
参考:茨木市ホームページ
>>通学路に防犯カメラを設置します
登下校中の児童を見守る
学区内への防犯カメラに適用される補助金
学区の安全を確保するための防犯カメラ導入には、補助金が整備されているケースがあります。
自治会、PTA、商工会等のご担当者様は、学区の登下校路へ防犯カメラの導入を検討する際、管轄地域で補助金の整備がないかぜひお確かめください。
防犯カメラ導入時に使用できる補助金制度については下記ページもご確認ください。
>>補助金・助成金を使って 防犯カメラを提供
登下校中の子どもを守る
学区に導入する街頭防犯カメラに求められる機能・性能
登下校中の児童を守るために学区へ導入される防犯カメラには、一定以上の機能や性能が求められます。
屋外で使用できること、いたずら被害で壊されるリスクが低いこと、暗くなってからも撮影できること、などです。
登下校中の子どもを守るために求められる防犯カメラの犯罪抑止効果
学区を登下校する児童を守るため、防犯カメラには、まず第一に学区で犯罪を起こさせないよう犯罪を抑止する効果が求められます。
防犯カメラは形状や取付位置の選定により、犯罪抑止効果を高めることができます。
登下校路に設置する防犯カメラの犯罪抑止効果を高めるために、防犯カメラの形状は、バレット型もしくはボックス型、もしくは街頭防犯に特化した大きなサイズの防犯カメラを選択するといいでしょう。
学区の通学路に導入するための防犯カメラの機能
学区の登下校路へ導入する防犯カメラには、屋外設置に耐えられる耐久性や、暗闇でも撮影できる性能など、一定以上のスペックが求められます。
【屋外設置について】
当然、学区の登下校路に取り付ける防犯カメラには防水・防塵性能が必要です。
防犯カメラの防水・防塵性能は、IP規格と呼ばれる電子機器の防水・防塵規格で表記されています。
【暗視機能について】
学区を登下校する時間は、朝方や夕方・夜など、周囲が暗くなってからにも及びます。
学区の児童を守るために、登下校路へ設置する防犯カメラには、明るい時間も暗い時間もはっきり撮影ができる機能が求められます。
【録画機能について】
学区へ導入する防犯カメラには、事件発生後に確認ができるよう、録画機能が必要です。
通常の防犯カメラでは録画時間についてもお客様とご相談の上決定しますが、学区・登下校路といった公共空間に取り付ける防犯カメラでは自治体のガイドラインに沿った運営が求められるため、注意してください。
学区に取り付ける街頭防犯カメラの注意点
学区・登下校路に導入する防犯カメラは、撮影範囲が住民や通行人へのプライバシー配慮が求められます。
登下校路のみを撮影することができず住宅のベランダが撮影領域に入り込んでしまう場合にはマスキングするなどの対応が求められます。
学区内への貼り紙・看板併用で
防犯力の強化を
学区へ防犯カメラを導入する場合には、登下校路のいたるところ、学区の目につきやすい場所に、「防犯カメラ作動中」「登下校路の防犯強化中」など犯罪に対する環境整備を強化していることを示す張り紙や看板の活用が防犯効果強化に有効です。
学区へ張り紙や看板を導入する際には、防犯カメラの専門業者が用意したものをご使用ください。
登下校する児童を見守るために
学区へ防犯カメラを導入する際に気を付けること
学区へ防犯カメラを導入する場合には、電柱に防犯カメラを取付ける際の注意点や、保守運用の重要性、録画容量、設置台数などに気を付けてください。
学区内の電柱へ防犯カメラを付ける際のルールや、学区内の安全を確保するために正しく防犯カメラを運用するコツ、学区内のガイドラインに沿って適した録画容量を設定することなど、防犯カメラの専門業者であれば柔軟に対応できるかと思いますので、まずは、お近くの防犯カメラ専門業者へお問い合わせください。
防犯カメラセンターでももちろんいつでも対応させていただきます。
防犯カメラ導入の補助金申請もおまかせください
学区の安全を守るために防犯カメラを導入する場合には、補助金の支給対象となるケースがあります。
管轄学区において登下校路へ防犯カメラを配置するために補助金が整備されているかどうか、また、補助金を申請するためにはどうしたらいいかなどについても、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
以上、登下校する児童への犯罪リスクがいまだ高いこと、また、学区の安全を強化するために防犯カメラが活用されていることをご紹介するとともに、登下校する児童の安心を確保するため、また、学区の安全を強化するために、登下校路へ防犯カメラを導入する際のコツやポイントをまとめました。
防犯カメラは適切に取り付け、運用することで、防犯効果を高められるシステムです。
学区の登下校路へ防犯カメラを導入する場合には、機器選定や取付位置の検討などについて、防犯カメラの専門業者とよくお打ち合わせください。