防犯カメラで隣人の敷地や公道を撮影することは違法か?
弊社に寄せられるご相談の中には、防犯カメラを設置して『公道を撮影すること』『撮影する映像に他人の敷地が写ってしまうこと』は違法ではないか、と心配されているお客様もいます。
まず、結論から申し上げると違法ではないです。ただし運用方法を誤ると違法になる可能性があります。
弊社は、2006年から防犯カメラに特化して1万ヶ所以上もの場所に施工をしてきました。そこで培ったさまざまな経験を活かして、お客様に安心して防犯カメラを設置していただけるよう、ご説明させていただきます。
※ 案件ベースの細かなご相談は法律の専門家にご相談ください。
防犯カメラを設置して訴えられた件数は0件
弊社では、創業以来、防犯カメラを数万台、数万ヶ所に及び、施工してきました。個人のお客様では「隣人トラブル」や「家族間トラブル」こういった裁判になりやすい状況下であっても、訴えられた弊社のお客様は0件です。
(カメラを壊されたお客様は数件ありますが弊社の場合、契約によりますが全て修理は保障対象となります。)
人を訴えることは誰でも可能です。ただ、訴えても相手に非がなければ、損害賠償も慰謝料も発生しません。
ただし、弊社のお客様ではありませんが防犯カメラを隣人の玄関部分に向けて訴えられた事例は実際に判例としてあるようです。
防犯目的ではなく、相手のプライバシーを侵害すると認められた例もありますがこれは極めて極端な例と言えます。
防犯カメラの機能を使って隣人の玄関部分が写り込まないようにすることは可能です。それに関しては後述します。
防犯カメラはプライバシーの侵害にあたるのか?
まず、どんなことがプライバシーの侵害にあたるのかを考える必要があります
個人情報保護法が公布されたのは2003年(平成15年)でした。
その後も改正を繰り返し、現在に至ります。
今後も改正を繰り返すことが予想されるため、ここで個人情報保護について詳しく書くことは控えます。個人情報は、2022年4月8日の時点では下記のように定義されています。
この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの
個人であろうと法人でろうと、誰でも生活をしていく上で、少なからず複数の個人情報を得ることになります。
もちろん、個人情報を得ること自体が罪に問われることはありません。
弊社では個人合わせて数十万件の個人情報(法人内の個人情報を含む)がありますが、適切に管理されていれば問題ありません。
保有した個人情報が第三者に渡らず、適切に管理されていれば違法にはなりません。
防犯カメラの映像も同じです。
防犯カメラが撮影する映像には誰がどこにいたか、どんな様子だったかを知る数々の情報が記録されています。
ただし、第三者にこの情報を渡したりしなければ問題はないということです。
マイクで音声を記録するのは違法?
弊社でもマイクを設置して音声を録音するという設置工事はたくさんのお客様のところで行っております。
例えばコンビニでは弊社が知っている限り、90%以上のレジにマイクが設置されています。
これはコンビニ強盗、モンスターカスタマー(クレーマー)対策を目的として設置されることが多いのですが、防犯性向上のため防犯カメラの映像記録と合わせてに音声を録音・記録することも現在では一般的になっています。
トリニティーの防犯カメラの基本機能
プライバシー
トリニティーでは防犯カメラの映像を違法に悪用されないよう納品時にしっかりとご説明をさせていただいております。
弊社では防犯カメラのセキュリティ性を高めるため、レコーダー(録画機)にパスワードを決めていただくことを推奨しています。
これは万が一第三者に侵入され、機器を触られてしまった場合に勝手に映像を抜き出せないようにするためです。
他人のプライバシー部分を撮影しないように設定することで、万が一映像が流出しても個人情報保護法にひっかからない対策も可能です。
パスワード機能(基本機能)
録画機にパスワードをかけることで、誰でも録画映像を閲覧できなくすることができます。これは弊社だけでなく、一般的な防犯カメラ専用のレコーダーには必ずついている基本機能になります。
プライバシーマスク機能(基本機能)
カメラで撮影する一部分、例えば隣の家の庭や玄関などを黒く塗りつぶすことができます。
モザイク機能(オプション)
AIを使って人の顔にモザイクをかけるシステムがあります。
弊社ではプライバシーを強く守らなくてはいけない場所について、上記のセキュリティに加え、モザイク処理を行うことによってより高い個人情報の保護をすることができます
トリニティーでカメラ設置を請けないケース
- 反社会的勢力チェック書類にサインをいただけない場合
- 目的がはっきりしない防犯カメラ設置
- 設置する施設の管理者じゃない方からの依頼
- 女子更衣室及びそれに準ずる場所 等
トリニティーでは上記のような場所への防犯カメラ設置は違法の可能性があるためお断りしております。
弊社も犯罪の幇助の罪に問われる可能性があるためです。
稀に断っても断っても依頼をしてくる方がいらっしゃいますが100%お受けすることはできませんのでご了承ください。
防犯カメラ導入団体9,200件を突破!
トリニティーの防犯カメラは、中小企業から大手企業、自治体から管理組合まで様々な業種のお客様にご利用いただいております。
まとめ
防犯カメラはその本来の目的とは異なる利用をする場合、違法性を問われることになります。
悪意のある目的で防犯カメラを利用しないことが大切です。
もし、隣人や近所の方に防犯カメラでプライバシーが侵害されているんじゃないか、と言われた場合は、カメラの向きを変える、カメラの基本機能で敷地、公道以外を撮影できないようにする、などの措置を行えば問題が大きくなることはないと思われます。
防犯カメラは今や防犯目的以外にも使われることが多く、工場の生産過程の記録、クレーマー対策など様々な用途で利用されます。
弊社もその設置工事に対し違法性を感じたときはお仕事をお断りすることがありますのでご理解ください。
この記事の執筆者
兼松 拓也
2006年に、愛知県名古屋市で株式会社トリニティーを設立。
防犯カメラの設置は1000ヶ所以上に携わり、現在ではAI・IoTシステムの開発に従事する傍ら、セキュリティコンサルタントとして顧問業務も行う。