防犯カメラの証拠能力を高めるために
防犯カメラに最も期待されることは証拠能力の担保です。
防犯カメラは元々証拠として映像を残すために取り付けられるものです。
撮影された映像はこれまでもたくさんの事件において犯人の特定、犯行の証拠となり事件の解決に役立ってきました。
ただ、設置する防犯カメラの性能や設置の仕方、取り扱い方によっては証拠能力がなくなってしまう事もあります。
いざという時に困らないためにも導入前にどんなカメラが必要で、どこに設置するのが効果的なのか知っておく必要があります。
このページでは防犯カメラのプロが、撮影した映像を十分な能力を発揮できる証拠として扱われるようにするために、必要な性能や設置方法を解説します。
証拠の確保に必要な4つの要素とは
犯罪やいたずら等のトラブルの証拠を残すためには現場の状況や犯人の様子が鮮明に撮影されている必要があります。
しっかりと証拠としての映像を撮るためには重要な4つの要素があります。
それは「画質」「角度」「夜間映像の質」「録画期間」です。
この要素について解説します。
画質は200万画素以上
画質は高ければ高いほど良く、200万画素以上800万画素以下が一般的です。
ただし、画素数が高いカメラはその分値段も高くなります。
最低200万画素必要ですが、録画装置でも画質はかなり左右されます。
【比較実験】画質による顔認識の違い
こちらは以前よく使われていた40万画素の防犯カメラと200万画素のものとで画質を比較したものです。
やはり画質が低いと全体が映っても個人の特定までは至らず、細かい状況や犯人の顔まで把握することができません。
カメラは目的や設置場所によって適切な画質で撮影できる機種を選ぶ必要があります。
適切な角度が証拠を残す手助けに
なるべく顔や特徴がわかるように撮影できるよう、防犯カメラは犯人の侵入経路に向かって設置する必要があります。
カメラは一般的に人の顔に向かって角度45°以内に設置します。
高い位置から撮影をすると帽子を被った犯人の場合、帽子のツバが邪魔になってしまう等で顔が撮れず捜査の妨げになってしまい証拠として機能しなくなってしまいます。
夜間・暗所も鮮明な映像が撮れることが大切
日中はどんなに安いカメラでもきれいに撮影ができることが多いですが、その性能は夜間の映像・暗所での撮影でかなり差が出ます。
そのため機種選びの際には夜間の映像がしっかりと撮影できる業務用のカメラを選ぶことをおすすめします。
暗い場所や夜間は人目につきにくい分、犯罪リスクも高くなります。
万が一なにかあった時に防犯カメラの映像が証拠として働くかは暗い場所、遠い場所でもしっかり撮影できるかどうかが非常に重要なポイントです。
録画データの保持期間
ほぼすべての防犯カメラは、設置時に設定した映像保持期間がすぎると自動的に上書きされ古い映像は消去されます。
起こる犯罪・トラブルの種類によっては時間が経ってから発覚することもあり、録画保持期間後になってからでは事件時の映像が見られないケースもあります。
しっかりと証拠を残すためには、設置場所や想定されるトラブルに応じた録画期間を予め検討しておく必要があります。
映像の保存期間は記録媒体の容量によって変わり、録画の保持時間=証拠の保持時間となります。
以下に記録媒体別の保持時間の目安は以下の通りです。
容量 | 寿命 | 備考 | |
SDカード | 16GB程度から512GB程度 | 短い(1年程度) | カメラにより容量制限有 |
SSD | 128GB程度から1000GB程度 | 長い(5年程度) | 比較的高価 |
HDD | 1000GB程度から8000GB程度 | 長い(4年程度) | 比較的安価 |
※1000GB=1TB
※200万画素の防犯カメラを適切な画質で1ヶ月残そうと思うと装置によりますが、約1000GB必要です。
警察にいち早く届けることが重要
刑法犯罪の場合、防犯カメラの映像を警察に届けたこと自体がタイムスタンプとなり証拠能力を発揮します。
民事事件の場合は、弁護士に相談し適切に映像を保管する必要があります。
刑事事件の場合 | 警察に届けることで証拠能力を発揮 |
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民事事件の場合 | 弁護士に届け適切な保管をすることで証拠能力を発揮 |
気をつけないといけないのは、防犯カメラシステム自体の時計が狂っていることがしばしばあるので、それが実際の時間と何分ズレているのかをチェックしておく必要があり、その証拠もできれば第三者がいる状態で残しておく必要があります。警察の方が映像を証拠として持ち帰る際には、必ず時間のずれを確認して証拠を抜き出しますので、その際は警察にお任せするとよいでしょう。映像の抜き出しは警察の方にお願いすることで、証拠能力を担保できると考えてよいかと思います。
防犯カメラの証拠能力 まとめ
いざという時に防犯カメラの映像を証拠として提出できるようにするにはまず、「画質」「角度」「夜間映像の質」「録画期間」のポイントを抑えて設置することが大切で、それによって証拠能力の高さ低さが違います。
様々なケースを想定してきちんと侵入の瞬間や犯人の顔、その時の状況が撮影できる適切な機種選びと適切な位置にカメラを取り付け、適切な記録期間を設定します。
弊社では無料の現地調査でその場で起こりうる犯罪リスクや不審者の侵入リスク等を考慮した上で最適な機種、位置、台数、記録期間をご提案します。
せっかく設置したカメラが、犯罪が起きたとき証拠能力を持たないのはとても残念なことです。
カメラの導入後もそのまま放置せず、普段から稼働していることを確認し、時計の狂いや夜間の画像、蜘蛛の巣などによるハレーションなどがおきていないかしっかりと確認しましょう。
また、撮影された映像は証拠として警察に届ける、弁護士に届けるなど映像が消えてしまう前に対処することも大切です。
弊社では導入後の保証オプションとして防犯カメラがきちんと稼働しているか毎日自動で確認するための死活監視サービスも提供していますので、ぜひご相談ください。