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防犯カメラのガイドラインとは?
(市区町村のガイドラインについて)

防犯カメラのガイドライン

防犯カメラガイドラインで安全運用!
市区町村が策定する防犯カメラのガイドラインについて

市区町村のガイドラインについて

防犯カメラは広く普及し、民間団体から公共団体、個人の方も利用する一般的なセキュリティツールとなりました。
実際、防犯カメラは、犯罪抑止効果により安全性が高められているという事例や、犯罪捜査で効果が発揮されている事例が少なくありません。
しかし、「知らない間に自分の顔や姿が防犯カメラに映されているのではないか」「防犯カメラ映像が悪用されているのではないか」といった不安を抱える方も多く、防犯カメラの運用にはプライバシー侵害への懸念が常に指摘されてもいます。

こうした背景をうけて、各自治体では防犯カメラの運用について条例やガイドラインを定めています。
条例が法的拘束力を有することに対し、ガイドラインには法的拘束力はありません。
また、ガイドラインは自治体から私人に対する指針である場合が多く、地域の防犯カメラの運営をサポートする役目を担っています。

自治体が定める防犯カメラのガイドラインについて

自治体が定める防犯カメラのガイドラインは、自治体が地域における防犯カメラ運用の指針を示すという役割があるとご紹介しました。
全国一律で定められた防犯カメラのガイドラインはなく、各自治体によって異なっている点が防犯カメラのガイドラインの特徴です。
以下で、いくつかの自治体のガイドラインを取り上げながら、自治体ごとでガイドラインにどのような違いがあるのかを見ていきます。

愛知県が定める防犯カメラのガイドライン

愛知県は、防犯カメラの導入が犯罪抑止に効果がある一方で、県民が抱える「防犯カメラによってプライバシーを侵害されている」等の不安を緩和するため、ガイドラインを制定しています。

愛知県が定める防犯カメラガイドライン
対象となる防犯カメラ

ガイドラインでは、防犯カメラを導入する主体を問わず、以下3要件を満たすものが対象となると定められています。
・防犯を目的として継続して設置する
・不特定多数のモノを撮影する
・録画機能を有する

愛知県が策定する防犯カメラガイドラインで定められる
配慮すべき主な事項

  • 設置の表示を行うこと
  • 撮影された画像の適正な管理を行うこと
  • 画像の設置目的以外の利用や他者への閲覧・提供を禁止すること
    (例外もあります)

愛知県が策定する防犯カメラガイドラインで定められる
書面策定すべき事項

ガイドラインでは、『設置目的』『目的外利用の禁止『管理責任者』『画像の管理』『閲覧・提供の制限』『苦情対応』等を書面で定めるよう記載されています。

参考:愛知県ホームページ
>>「防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン」の策定について

名古屋市が定める防犯カメラのガイドライン

名古屋市では、『犯罪防止効果』と『市民のプライバシー保護』との調和のために、独自のガイドラインも制定しています。
愛知県のガイドラインと名古屋市のガイドライン、どちらにも該当する防犯カメラについては、名古屋市のガイドラインが採用されます。

名古屋市が定める防犯カメラガイドライン
対象となる防犯カメラ

ガイドラインでは、『学区連絡協議会』『商店街振興組合』など地域の公共的団体が主体となり、防犯活動の一環として道路や繁華街など公共空間を撮影する防犯カメラが対象であると定められています(民地でもガイドラインの適用があります)。
以下3つの要件をすべて満たすカメラが名古屋市が定めるガイドラインの対象となります。

  • 犯罪の防止を目的とするもの
  • 特定の場所に継続的に設置するもの
  • 画像を撮影し記録する機能を有するもの

名古屋市が策定する防犯カメラガイドラインで定められる
設置者の責務

  • 防犯カメラの適切な取扱い
  • 撮影さした画素増の適正管理
  • その他、ガイドラインに基づき利用基準を策定すること、苦情に対して適切・迅速に対応すること 等

参考:名古屋市ホームページ
>>「名古屋市公共団体による防犯カメラの設置及び利用に関するガイドライン」

宮城県が定める防犯カメラのガイドライン

宮城県では、平成18年4月に「犯罪のないみやぎ安全・安心まちづくり条例」を施行するなど、犯罪の未然防止が努められています。
ハード面の対策として防犯カメラの導入が進む中で、県民のプライバシー保護との調和を図るために防犯カメラのガイドラインが策定されています。

宮城県が定める防犯カメラガイドライン
対象となる防犯カメラ

ガイドラインでは、以下3つの要件をすべて満たすカメラが対象とされています。

  • 犯罪の防止を目的に導入されている防犯カメラ
    環境把握や事故防止等を主目的にするカメラであっても防犯目的を併せ持つ場合はガイドラインの対象になります。
  • 府到底多数の人が利用する施設や場所へ、継続的に導入されている防犯カメラ
  • 画像を記録媒体に保存する機能を備えた防犯カメラ

宮城県が策定する防犯カメラガイドラインで定められる
配慮すべき事項

  • 設置目的の設定、目的外利用の禁止
  • 適切な撮影範囲、設置場所 等
  • 設置の表示
  • 管理責任者、操作取扱者の指定
  • 設置者が守るべき事項の確認
  • 画像の適切な管理
  • 撮影画像等の閲覧・提供の制限
  • 秘密の保持
  • 保守点検等
  • 問い合わせ・っ苦情等への対応
  • 業務の委託
  • 個人情報保護法の遵守

宮城県が策定する防犯カメラガイドラインでは
運用規定の作成が定められています

ガイドラインでは、上記の配慮すべき事項を盛り込んで運用要領を定めることとされています。

宮城県が定める防犯カメラのガイドラインは、仙台市など、県内の自治体が実施する防犯カメラに関する補助金事業の基盤となっていることがあります。

参考:宮城県ホームページ
>>「防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン」

防犯カメラのガイドラインは自治体ごとの違いと共通点があります

各自治体が策定する防犯カメラに関するガイドラインは、まったく同じ内容ではありませんが、比較検討ができないほどかけ離れた内容でもありません。
それぞれのガイドラインには共通点が多数あります。
例えば、多くのガイドラインの大筋として、防犯を目的に継続的に配置され、不特定多数の人物が映る、記録装置を持った防犯カメラシステムが対象となる点などが挙げられます。
一方で、ガイドラインによっては、どこまでの内容を文章に残さなければいけないのか、等の違いも見受けられます。
防犯カメラを導入前にはご自身の属する地域でどのようにガイドラインが定められているのか、ご確認ください。

防犯カメラのガイドラインの必要性

ガイドラインの必要性

プライバシーの侵害や監視管理社会への反発など防犯カメラには課題もありますが、多くの自治体が、安心、安全なまちづくりに防犯カメラを活用し、防犯カメラの管理運用をしています。
しかし、防犯カメラの管理運用に関する法律は存在していません。
防犯カメラがこれほど社会に浸透しているのに、管理や運営の適正性は防犯カメラを導入している主体のモラルに大きく拠っています。
このため、各自治体ではそれぞれがガイドラインをまとめ、地域住民が安心して過ごせるよう、プライバシーに配慮した防犯カメラ運用をサポートしています。

防犯カメラの運用については国の法令によって規制されてはいませんが、指針は示されています。
例えば、政府の個人情報保護員会が制定した「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」では、防犯カメラに記録された情報など本人が判別できる画像は、個人情報に該当する事例の一つとさています。
また、「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』及び、『個人データの漏洩などの事案が発生した場合の対応についてに関するQ&A』」では、以下のように質問に回答されています。

Q:
「店舗に防犯カメラを設置し、撮影した画像やそこから得られた顔認証データをマーケティングなどの商業目的に利用する際、個人情報護法との関係でどのような措置を講ずる必要がありますか?」

A:
「本人を判別可能なカメラ画像やそこから得られた顔認証データを取り扱う場合、個人情報の利用目的をできる限り特定し、あらかじめ公表する、または個人情報の取得後すぐに本人通知もしくは公表するとともに、当該利用目的の範囲内でカメラ画像や顔認証データを利用しなければなりません。防犯目的に取得したカメラ画像やそこから得られた顔認証データを他の目的に利用する場合は本人の同意を得る必要があります。」

防犯カメラは、防犯対策や状況把握等に非常に有用である一方で、商業施設や駅前等、不特定多数の人が行きかう場所に取り付ける際に、プライバシーへの配慮が非常に重要となります。
条例などによって法的拘束力を持たせると、管理するために自治体が大きな労力を必要とする等現実的ではないため、指針を示すガイドラインが必要とされるようになるわけです。
ガイドラインは、法的拘束力はありませんが、『防犯カメラを導入する際に何に気を付けるべきなのか』、『どのように運用したらスムーズなのか』等をわかりやすく共有する有効なツールとなります。

多くの自治体、商店街振興組合などが定めるガイドラインでは、防犯カメラの画像の取り扱いや、その利用は防犯のみの使用しかできないことが明記されているのです。
防犯カメラの設置や管理などの国の法令がないものの、自治体においては、住民のプライバシー保護の観点から、条例、規則、要綱、ガイドライン等を制定して、防犯カメラの設置や利用をしています。
プライバシー保護や防犯カメラの画像である個人情報の取り扱いなどに関してガイドラインがあるので、防犯カメラの公共的な利用は安心できるのです。

防犯カメラの設置を奨励している自治体においては、商店街振興組合などが防犯カメラを設置する際には補助金を出すところもあります。
補助金制度を使って防犯カメラを設置した商店街の例を紹介します。

ガイドラインに則って防犯カメラ設置を

ここは大きな寺院を中心に昔から商店街が発展してきました。
この寺院で再選泥棒などがあり、自治体の補助金制度を使って防犯カメラを設置することに。
防犯カメラ設置にともない、自治体の防犯カメラのガイドラインになぞらえて、商店街の防犯カメラ運用のためのガイドラインをまとめました。
防犯カメラの画像を誰でも簡単に見られない、利用されないように、管理運用することは、個人の家屋に設置する防犯カメラとはずいぶん違いました。
商店街の防犯カメラの運用は手間はかかりますが、その慎重な運用がガイドラインできっちり明記されている分、安心でもあります。
防犯カメラを設置してからしばらくたって、寺院で賽銭泥棒が発生しましたが、逃げた先に商店街の防犯カメラがあり、あえなく御用となりました。
ガイドラインにそっての運用は手間もかかりますが、防犯カメラを設置してよかったと思います。