学童保育の防犯カメラ活用
学童保育防犯カメラについての概況
学童保育が1997年に児童福祉法に位置づけられて以降(1998年4月施行)、学童保育の施設数・入所児童数はともに増加しています。
1998年施行当時9,627か所だった学童保育の施設数は、2016年には27,638か所に、また、入所児童数は333,100名から1,076,571名に増加しました。
途中、国による方針の策定として、厚生労働省が大規模保育の解消を目指し2010年以降71名以上の児童が在籍する学童保育所への補助金を打ち切る方針を打ち出したり(実際には継続された)、対象児童の年齢に対して『おおむね10歳未満』から2015年4月より『小学校に就学している児童』まで拡大されたりと、いくつかの変化が見られました。
学童保育と防犯カメラ
学童保育には、学童保育施設は増えているものの、それ以上に利用する児童が増えていることで待機児童が増加しているという課題が持ち上がっています。
学童保育施設数:
2013年:約21,500か所→2018年:約25,300か所(約3,800か所増)
学童保育登録児童数:
2013年:約88.9万人→2918年:約123.4万人(約34.5万人増)
参照:厚生労働省公表資料より
場所やスタッフの不足を受けて、政府の地方分権改革有識者会議では学童保育1カ所につきスタッフ2人以上の義務付けから1人の職員配置でも容認する方針が示されました。
保護者からは「保育の質、安全・安心の質が下がるのではないか」と不安の声もありますが、待機児童問題を解決するための苦肉の方針転換といえます。
こうした状況の中で、防犯カメラ導入を検討する学童保育施設が増加傾向にあります。
もちろん、温かい保育や教育の質を高めることについては、人の手でなければ成しえません。
しかし、大前提としての安全環境の整備や、大人の目が行き届かない子ども同士の空間にも『見守られている』という安心感や緊張感を与えること、また、少ないスタッフ人数でも遠隔監視を活用して複数名で子どもたちの様子を見守ることなど、防犯カメラが役立てられるポイントがいくつも複数あります。
弊社でも学童保育の現場へ防犯カメラを導入させていただく機会は増えています。
これまでの経験・お客様から伺う体験談より、下記に学童保育における防犯カメラの活用方法をまとめます。
学童保育の防犯カメラ活用:
外部の不審者から子供を守るセキュリティツールとしての活用
子どもを狙った犯罪が全国的に増える中、複数の児童が集まる学童保育施設では外部からの犯罪を防ぐ環境整備は喫緊の課題となっています。
学童保育は小学校の空き教室や空きスペースを利用して運営される場合と公民館などの公共施設が利用される場合、民間の施設や民家が利用される場合などがありますが、どのケースでも、不審者に侵入される危険性はあります。
小学校で先生方が注意をしていても不審者による盗難や隠し撮りなどの犯罪が後を絶たない現状を考えると、学童保育における体制ではできるだけ強固な防犯体制を整えるべきです。
防犯カメラは、その名が示す通り、犯罪を未然に防ぐ効果が期待できるセキュリティツールです。
防犯カメラを要所要所に取り付けることで、不審者へ「防犯体制が整っている場所だ」と印象付けることができ、犯罪を断念させられる効果があるといわれています。
もちろん、不審者情報が寄せられた場合は録画データを提供することで捜査協力にも役立てられます。
学童保育の防犯カメラ活用子ども同士の悪ふざけ(見守りカメラとしての防犯カメラ活用)
学童保育が対象とする小学1年生から小学6年生までの児童は、大人の目がなくても過ごすことができる反面、大人の目がないと抑制が効かず危険なことや行き過ぎた行為に及ぶ可能性がある年頃です。
子ども同士で危ないことをする、子ども同士ゆえ抑制が効かずいじめに通ずる行為に及ぶ、といった危険性が考えられます。
大人がぴったりと貼り付いていなくても遠くから目を光らせているだけで、子どもたちの行き過ぎた行動が制限されるということは、多くの方が経験もしくは感じ取っていることかと思います。
この、遠くから見守る大人の目の代用として、防犯カメラは役立てられています。
防犯カメラがあることで、学童保育の子どもたちは遊びや行動に節制を効かせることができているようです。
学童保育の防犯カメラ活用:遠隔から複数人で様子が確認できる(見守りカメラとしての防犯カメラ活用)
学童保育の運営にあたり、スタッフ不足が問題となっている現状については先にご紹介しました。
この問題の対策にも防犯カメラは役立てられています。
例えば2人のスタッフで30名の児童の対応に当たる場合、1人15名ずつを常に見守ることは不可能です。
それぞれのスタッフが何名かにつきっきりになってしまい、目が届かない空間や児童が発生してしまうことは、否めません。
それでも、防犯カメラ映像を手元のスマホやタブレットから確認することで、まったく目が届かないという状況は避けることができます。
さらに、事務所や遠隔地にいるスタッフも防犯カメラ映像を確認するとしたら、複数人で学童保育施設全体を見守る状態がつくれます。
防犯カメラの円滑な運用にはガイドラインの策定が重要です
学童保育に限らず学校や幼稚園・保育園などでもいえることですが、児童が集まる場所へ防犯カメラを導入する場合にはとくに利用前のガイドライン策定が大切です。
保護者のみなさまから防犯カメラの映像を確認したいというご要望が出ることが多いためです。
もちろんプライバシー等の観点から誰でも防犯カメラの記録映像を閲覧できるようにしてしまうのは問題がありますから、どこまでの人が、どのようなときに映像を確認できるのか、どのような場合には特例として映像を公開できるのか、などの防犯カメラ運用に係るガイドラインを使用前に策定しておくことが、スムーズな運用につながります。
児童施設の防犯カメラ工事の様子
実際に児童施設に防犯カメラ工事をしている様子です。
名古屋市が整備している学童保育への助成金
名古屋市では学童保育(留守家庭児童健全育成事業)の運営に必要な費用に助成金が整備されています。
地域の学童保育所(留守家庭児童育成会)は規定に則り申請することで助成金を受け取ることが可能です(※)。
(※)名古屋市ホームページ「留守家庭児童健全育成事業(学童保育)」
学童保育の防犯カメラは助成金で導入できる場合があります
名古屋市の助成金事例
学童保育の運営にあたり給付される助成金では、防犯カメラの導入に適用される項目もあります。
令和2年度の留守家庭児童育成会運営助成要綱では、環境改善事業助成として防犯カメラを含めエアコン、冷蔵庫、飛散防止フィルム、便器の更新等の環境改善に全額助成金が給付される旨記載されています(最大で合計100万円まで)。
参照:「留守家庭児童育成会運営助成要綱(R02.04.01 改正後全文)」
安全なまちづくりへの防犯カメラ活用
学童保育は地域で子育てをする制度だといわれることもあります。
共働き世帯等、学校が終わった後自宅に保護者がいない児童が珍しくなくなった社会背景の中、放課後の安全・安心な環境を学童保育で守るとはいっても、学童保育施設という限られた空間だけではなく、地域全体で子どもが安全に安心して成長できる環境を整備しなければいけないことは間違いありません。
地域住民の監視の目で不審者を撃退すること、子ども同士で危険な遊びをしないよう大人が目を光らせることなど、地域全体で子どもを守り育てる取り組みが求められています。
街頭防犯カメラの役割
地域の安全環境整備として、街頭防犯カメラは期待されています。
警察庁によると、警察が設置した街頭防犯カメラは2008年からの10年間で約4倍に増え、18年度末で1912台になったとのことです。
街頭防犯カメラの効果的な活用については下記ページもご参照ください。
街頭防犯カメラの活用法
学童保育の防犯カメラ活用
まとめ
学童保育の防犯カメラ活用についてまとめました。
防犯対策や人手不足の解消、子ども同士の行き過ぎた行動の抑止など、防犯カメラは学童保育において幅広い切り口で活用されています。
このページでは名古屋市における学童保育への助成金概要をご紹介しましたが、各地で学童保育施設の運営を補助するための助成制度は整備されています。
学童保育施設に防犯カメラの導入をご検討中の学童保育運営者様は、ご自身の地域の助成制度をぜひ調べてみてください。