防犯カメラの選び方(信号方式・屋外用・家庭用・業者の選び方)
防犯カメラの選び方は毎年難しくなっています。
撮影するカメラや映し出すモニター、またその伝送方式などトータル的に、近年の技術は大幅に向上しています。
イメージセンサーの高解像度化や圧縮技術の向上により、いまでは、フルHD画質(HD:High Definition 200万画素)以上が標準といえるほどになりました。
また、4K、8Kなどのさらなる高精細映像表現が可能なUHD画質(Ultra High Definition)も、徐々に普及しはじめています。
技術の向上に伴い防犯カメラも高画質化が進み、用途や開発元の違いから、複数の信号方式が存在するようになりました。
従来のアナログ画質(SD画質)はアナログ方式(CVBS)、フルHD画質以上にはHD-SDI、EX-SDI、AHD、HD-TVI、HDCVIと呼ばれる5つの規格があります。
防犯カメラを選択される際に、こうした複数規格の混在に困惑されるお客様もいらっしゃいます。
ここでは、上記6つの信号方式にネットワークカメラを含めた7種類について、それぞれの特徴の長所・短所を説明させていただきます。本ページの情報が、防犯カメラ導入を検討されるみなさまにとって、少しでもお役に立てたら嬉しく思います。
防犯カメラの選び方はまず信号方式を知ろう!
本ページでご説明する防犯カメラの信号方式は、下の7種類です。
それぞれメリット・デメリットがあり、お客様の建物や利用条件、予算などに合わせて選択しなくてはなりません。
この信号方式のそれぞれのメリットデメリットを知ることで防犯カメラの選び方により精度が増します。
- CVBSカメラ(アナログ防犯カメラ)
- HD-SDIカメラ
- EX-SDIカメラ
- AHDカメラ
- HD-TVIカメラ
- HDCVIカメラ
- ネットワークカメラ
※ネットワークカメラは特別に防犯カメラの信号方式ではありませんが、選択肢にのぼるため比較として並べました。
防犯カメラそれぞれの信号方式の比較
防犯カメラを信号別で比較できる表です。
信号方式別 防犯カメラの選び方
CVBSカメラ
CVBSカメラとは
コンポジット信号を用いた、HD画質以前に一般的だった、いわゆるアナログ防犯カメラです。画素数は25万〜60万画素と、HD画質が標準となったいまでは、画質が見劣りすることは否めません。
一方で、【大まかに確認したい】という目的であれば、役割を果たすことも可能です。
古い規格のため修理のための部品確保には不安がありますが、長い実績があるという点で、ほとんどのメーカー間で互換性があるという長所もあります。
CVBSカメラの長所
- メーカー間での互換性がある
- 長距離配線が可能
- ローコストで導入が可能
- テレビ信号と同じなのでそのままテレビに繋げられる
長年の実績から、メーカー間での互換性に優れている点、ラインナップが豊富で使用用途に合わせた防犯カメラを選択することができる点が、CVBSカメラの最大の長所です。導入コストが抑えられる点、同軸ケーブルで、最大500mの長距離配線が可能な点も、長所として挙げられます。
CVBSカメラの短所
- 60万画素以下と、画像が荒い
- 部品の生産が終了している場合がある
- ローコストで導入が可能
旧モデルであり、画質が劣ります。
また、CCDイメージセンサー、チップセットの生産終了が相次いでいるため、今後の交換や修理が難しい場合があるという短所があります。 (※弊社ではある程度、在庫を確保しているので当分の間、修理が可能です。)
HD-SDIカメラ
HD-SDIカメラとは
HD-SDIは、放送業界で使用される放送用ハイビジョンデジタルVTRで多く採用されている信号方式です。非圧縮のフルHDの画像を伝送するため、最も高解像度な映像伝送が可能な方式で、同軸ケーブルを使う方式の中では最も高画質となります。
反面、長距離の施工には不向きです。
また放送業界向けの機器ということで、一般向けの感覚ではハイコストといえます。
HD-SDIカメラの長所
- 非圧縮伝送による高精細映像
- ノイズ耐性があり画像劣化が少ない
CVBSに次ぐ長い実績があるが製造元が少なく、現在ではあまり人気があるとは言えない。
カメラの画素数は全て200万画素以上と高解像度で、非圧縮伝送による、劣化の無い高精細な映像撮影が可能です。
さらに、デジタル伝送なのでノイズ耐性があり、同軸配線を行う信号方式の中ではトップの高精細映像を実現することができます。
信号を非圧縮で行うHD-SDIでは、推奨される同軸ケーブルの配線可能距離が非常に短くなります(5C-FB使用時には100m、5C-2V使用時には60m、3C-2V使用時には30m)。
施工距離の解決としては、リピーターや電源重畳ユニットなどの販売もありますが、もともとの高価な機器代金に加え、さらにコストがかさんでしまいます。
EX-SDIカメラ
EX-SDIカメラとは
EYENIX(韓国のチップセットメーカー)が開発したHD-SDIの規格を進化・拡張させた信号方式です。
フルHD画質が標準でありながら、HD-SDIの配送距離の問題が改善されています。
ややハイコストであるものの、高精細な映像を、長距離デジタル伝送することができます。
EX-SDIカメラの長所
- HD-SDIに次ぐ高精細映像
- 長距離配線が可能
- ノイズ耐性があり画像劣化が少ない
画素数は200万画素以上の高解像度カメラがラインナップされています。
高精細映像をデジタル信号で長距離配線することができ、5C-FB使用時には最大350mまで配線することが可能です。
さらに、レシーバーを使用すれば配線距離を伸ばすこともできます。
HD-SDIに次ぐハイコストである点が短所です。また、受信側にEX-SDI映像信号が受信できる機器が必要となり、汎用性は低いといえます。
ただ、HD-SDI / EX-SDIの混用使用可能なモデルも発売されはじめているため、今後汎用性・互換性は改善していくと考えられています。
ただし、アナログハイビジョンカメラが台頭してからは販売する会社が減っているように感じます。
SDIカメラの選び方
SDIカメラの選び方は単純に設置する建物が大きいか大きくないかが重要です。
選び方としては100mを超えない配線の距離であればHD-SDI、超える場合の選び方はEX-SDIということです。
AHDカメラ
AHDカメラとは
NEXTCHIP(韓国のチップセットメーカー)が開発し、韓国、台湾、中国のカメラメーカーの多くが採用しています。
アナログカメラシステムの、低コスト、撮影・録画の安定性などの長所を生かしながら、HD・フルHD画質での撮影・録画を可能にしました。
AHDは映像データをアナログで送信するため、最大500m(3C-2Vの場合は200m)の長距離配線ができます。
3C-2V以上の同軸ケーブルで使用できることから、既設のアナログカメラの配線を活用できる場合が多く、入れ替えがしやすいという点も大きな長所です。
防犯カメラの選び方と題しましたが、迷ったらこの信号方式をおすすめします。
AHDカメラの長所
- 最も安価にHD画質・フルHD画質を導入できる
- 既存のアナログカメラとの入れ替えがカンタン
- ラインナップが豊富
- 長距離配線が可能
カメラの画素数はAHD1.0でも130万画素、AHD2.0では200万画素以上、AHD3.0では400~500万画素以上でラインナップされています。
高解像度でありながら、アナログカメラとほとんど変わらないコストで導入ができるコストパフォーマンスの良さが大きな長所といえます。
コストパフォーマンスの良さと、CVBSカメラの配線を再利用できるという点から普及率が高く、ラインナップが豊富であることも長所です。
AHDカメラの中での選び方の注意点
AHDカメラの選び方で一点だけ注意する点があります。それは古い方式の商品を購入しないことです。古いタイプは100万画素もしくは130万画素で古いタイプのチップが入っています。古いタイプのAHDレコーダーは新しいタイプのものと互換性がない場合があります。
HD-TVIカメラ
HD-TVIカメラとは
アメリカのTechPoint社が開発した信号方式です。
非圧縮のフルHDで撮影し、アナログ伝送技術を用いて伝送を行うため、AHD同様既設のCVBS時の配線距離を維持しながらフルHD品質の撮影・録画を実現できます。
既設の3C-2V以上の同軸ケーブルを再利用できる点も、AHDと同様です。
HD-TVIカメラの長所
- 比較的安価にHD画質・フルHD画質を導入できる
- 既存のアナログカメラとの入れ替えがし易い
- 長距離配線が可能
200万画素以上の高解像度カメラがラインナップしています。
AHDカメラと同様にアナログ伝送技術を用いて伝送を行うため配線も3C-2V以上の同軸ケーブルを使用して長距離配線が可能です。
AHDカメラと同様、映像伝送をアナログに変換して伝送を行うため画質が劣化してしまい、同じ解像度をもつHD-SDIカメラ等の映像と比較すると、確認するときの映像画像では品質が劣ってしまいます。
また、アナログ伝送の為、ノイズ耐性が無く、映像にノイズが乗ってしまう可能性がある点もAHDカメラと同様です。国内ラインナップはAHDカメラの方が充実しています。
HDCVIカメラ
HDCVIカメラとは
中国のCCTVメーカーDahuaが開発した同軸ケーブルを使用し、フルHD解像度を実現する信号方式です。
AHDやHD-TVI同様に非圧縮のフルHD映像を撮影し、アナログ伝送技術を用いて映像伝送を行います。
CVBSカメラの配線距離を維持できる点、高精細画像を撮影・録画できる点、既設のCVBSカメラの配線を再利用できる点も、AHDやHD-TVIと同様です。
HDCVIカメラの長所
- AHDに次いでローコスト
- 長距離配線が可能
HDCVI、AHD2.0、HD-TVIを比較した場合、解像度は変わりませんが、圧縮率の違いからかHDCVIカメラは最も良好な画質で撮影ができるとも言われております。
また、全体的に低価格の製品がラインナップしており、HD-TVIに比べてコストを抑えた導入が可能です。
AHDカメラ、HD-TVIカメラ同様、アナログに変換して伝送を行うため画質が劣化してしまい、同じ解像度のHD-SDI等の映像と比較すると画質は劣ります。取扱いメーカーはDahuaしかないため、ラインナップが少ない状態です。
ネットワークカメラ
ネットワークカメラとは
カメラ本体にIPアドレスを持ち、WEBサーバーやクラウドサーバーとつながり録画されます。
カメラとコンピュータが一体化したもので、カメラに固有のIPアドレスを割り当てることができるので、ネットワーク環境さえあれば単独で機能します。
ネットワークカメラを選ばれる方は、後々AIなどの画像識別機能を持たせたい場合に非常に有効です。
ネットワークカメラの長所
- 高解像度モデルのラインナップ
- 増設工事がし易い
- 録画装置を都合に合わせた場所に取付けできる
解像度が高い製品が多く4K対応モデルなどもラインナップしており、ライブ時や再生時にデジタルズームをしても高精細な映像を得ることができます。
また、製品によっては映像配信だけでなく、音声双方向通信を行うことができ、さらに、映像解析などのアプリケーションソフトを導入することで高性能な検知機能を利用したり、ナンバープレートの認識や人数カウンター、顔認識などを行うこともできます。
そのほかAI・IOT分野の技術と組み合わせることで、防犯以外の目的にも多方面での応用が期待されています。配線工事が不要であり、POE対応モデルであればLANケーブル1本で行うことができるため、取付け台数が多くなるシステムなどで有効です。
ネットワークカメラのデメリット
- ハイコスト
- 最大伝送距離が短い(ルーターなしの場合100m)
- 映像に遅延が生じる
- ネットワーク設計が難しい
- 録画の安定性に欠ける
一般的な防犯カメラと比べて導入・メンテナンスコストがかかります。具体的な数字はシステムや取付け台数により異なりますが、まだまだ導入のハードルが高いといえる状態です。
ネットワークカメラの特性上、モニターの動きと現実の動きに遅延が生じることもあり、導入前によくよく確認が必要です。
また、ネットワーク環境に依存するため、通信状態によっては通信が止まることがあります。
また、導入時にはシステム計画や構築が複雑となるため専門の知識が必要です。
その複雑性から、不具合が発生した際に原因が究明しづらいことも、端緒のひとつです。
屋外用防犯カメラの選び方
屋外用防犯カメラの選び方で気をつけることは、『ネットワークカメラを選択しないこと』です。
弊社がどれだけ気をつけて施工しても、どこからか湿気が入り、端子が錆びます。乾燥剤や融着テープなどをしっかり使っても錆びることがあります。
特にPoE接続の場合は危険だと思います。
LANケーブルの中を電流が流れているせいか、サビる確率が高いと感じます。
一つ選択肢が減るだけで選び方も楽になりますよね。
今だとAHDカメラやTVIカメラを使うことが得策と言えます。
家庭用防犯カメラの選び方
家庭用カメラは値段との戦いですね。
安いネットショップで売っているようなセットものの防犯カメラは、コンデンサの制度が悪いため、すぐに壊れます。
修理の連絡を毎日のようにいただきますが、防犯カメラ代より、修理代のほうが高くなってしまうことが多いです。
しっかりと保証をしてくれる業者ならどんな信号方式のカメラでもあんしんです。
家庭用防犯カメラの選び方は、保証の厚い業者の選び方と同等です。
防犯カメラ業者の選び方
防犯カメラ業者の選び方は、非常に難しい面があります。安い防犯カメラを販売している業者はカメラ自体の品質も低く、逆に高い会社は防犯カメラの品質も高い、サービスも高い場合が多いです。
ですので、見積もりを施工業者3社とるとしても、大手警備会社と地元の電気屋さんでは同じカメラの台数でも天と地の差が出ることがあります。
防犯カメラの業者選びは『カメラの品質・ランクとサービスの内容』を合せて比較するのが正しい業者の選び方です。
防犯カメラの選び方 まとめ
防犯カメラの選び方、参考になりましたでしょうか?
近年、防犯カメラの映像はフルHD画質が標準になり、2017年後半には各規格のさらなる高画質化が進みました。
この動きで、AHD、HD-TVIは4MP解像度、5MP解像度の製品がではじめ、EX-SDI、HDCVIも高解像度化が進んでいます。
東京オリンピック開催後には、4K解像度が標準となるかもしれません。
当然、選ぶ防犯カメラも低スペックなものから高スペックなもの、低価格なものから高価格なものと選択肢が大きく広がりました。
選び方、難しいですよね?
しかし、私見として、画質が高ければ高いほどいいかという点には疑問があります。
高画質の撮影を見るためには高画質のモニターが必要となりますが、4Kテレビはまだまだ高価なもので、全ての一般家庭で普及しているとはいえないのではないでしょうか。
また、人間が認知できる精度から考えても、4Kまで必要なのかどうか、再考していいのではないかと考えています。
さらには、解像度が向上することは録画時のデータ量が増えることにもつながり、保存期間の縮小またはデータ容量の増設など、新たな対策が必要にもなってしまいます。
映像技術の進歩に併せ、防犯カメラの性能も目をみはるほどの速度で進化しています。
長年防犯カメラを販売してきた立場としては、ハイスペックな機能をご紹介するだけではなく、それぞれのお客様のご希望・ご条件・環境に最適な防犯カメラシステムのご提案をしていけたらと考えています。
この記事は、防犯カメラの選び方について熟知している防犯設備士が書きました。
防犯カメラについての選び方・購入方法は、いつでもお気軽にご連絡くださいませ。
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