アナログカメラについて(増設・修理・リニューアル)
アナログカメラは無くなる?!ネットワークカメラで全てをカバーできるのか。
防犯カメラ設置のプロが答えます。
防犯カメラには大きく分けて、ネットワークカメラとアナログカメラがあります。
後発ながら防犯カメラ市場においてぐいぐいとシェアをのばしているのが、ネットワークカメラです。
巷では、「アナログカメラはもう古い。今さら設置するカメラではない。」という声も聞こえてきますが、はたしてそれは本当なのでしょうか。
このページでは、ネットワークカメラとの比較によるアナログカメラの長所と短所を整理しながら、アナログカメラの可能性についてまとめました。
アナログカメラの基礎知識
アナログカメラの長所と短所を整理する前に、そもそもアナログカメラとはどんな仕組みで、なにができるカメラなのかをざっくりとご説明します。
アナログカメラの仕組みと必要な周辺機器
アナログカメラは、ネットワークに接続していないという理由で、海外ではCCTVカメラ(閉回路テレビカメラ)とも呼ばれます。
テレビ用の同軸ケーブルを経由してテレビモニタに接続し、撮影した映像を見ることができる仕組みです。
通信している信号がアナログであることからアナログカメラと呼ばれており、アナログカメラで撮影した映像は、ハードディスクやVHSに録画することができます。
国内大手メーカーの多くが採用しているアナログカメラのシステムは、電源重畳型です。
当時はTOA社や東芝、日立、パナソニックなど重上限タイプの防犯カメラが多かったですね。
電源重畳型では、下の図のように、電源と映像信号を1本の同軸ケーブルでやりとりしています。
必要になる周辺機器は、ざっくりといえば、図の中に出てくる4種類です。
- カメラ本体
- カメラ駆動ユニット
- デジタルビデオレコーダー(録画したい場合)
- モニター
アナログカメラにできること
アナログカメラは非常に簡単な造りになっていますので、カメラ、録画装置、モニターを同軸ケーブルで接続し、電源を入れれば、すぐに映像をみることができます。
テレビにもRCAの端子があればすぐに防犯カメラ映像を映し出すことができます。
ネット対応のデジタルビデオレコーダーを採用した場合、専用アプリをインストールすることでスマホやタブレットでの遠隔管理や監視も可能です。
ネットワークカメラと比較したアナログカメラの長所・短所
近年、ネットワークカメラ、アナログカメラ、ともに性能が格段にあがっています。
アナログカメラの短所といわれていた側面が新しい技術で改善されているケースや、ネットワークカメラの短所といわれていた側面が社会インフラの整備で補われているケースなど、激しい変化があるのが実際のところですが、いったん現時点での状況をまとめます。
アナログカメラの長所
導入コスト・維持コストを抑えられる
アナログカメラは、ネットワークカメラと比較すると、導入コスト・維持コストが抑えられます。
具体的にどれだけ差額が発生するかについては、導入するシステムやカメラの台数により変化しますが、カメラ本体の価格、周辺機器の価格、維持に必要なコストなどさまざまな面で、アナログカメラの方がコスト低いといえます。
ネット環境に依存しないため、安定的に撮影・録画ができる
有線でつなぐため、ネットワークカメラのようにネット環境など外部からの影響を受けにくく、安定して撮影・録画をすることが可能です。
メンテナンスしやすい
構造がシンプルなため、不具合が生じた場合にも原因が究明しやすく、修理が容易であるというメリットがあります。
ネットワークカメラの場合には、複雑なネットワーク設計やカメラ自体の複雑さから、不具合の原因を突き止めるまでに時間や労力がかかってしまいます。
複雑な設定が必要ない
アナログカメラという名前の通り、設定を行う必要がなく、設備をつないだらすぐに映像を見ることが可能です。今の液晶テレビにも端子(RCA端子)さえあれば、すぐに映像を見ることができます。
伝送距離が長い
同軸ケーブルで通信を行うため、最大500mまで伝送できます。
このため、一般住宅だけではなく、敷地の広い建物や、集中管理したいケースなどにも対応することが可能です。
アナログカメラの短所
首振り機能やズーム機能などをつける際、ケーブルが増える
カメラの首振りやズームなどのPTZ拡張機能をつける場合にはケーブルを追加接続する必要があり、設置場所がケーブルだらけになってしまいます。
LANケーブルなら一本のケーブルで映像信号・電源供給・操作ができます。おさまりや配線工事については設置業者の腕によるところが大きくなります。
画質が劣る
ネットワークカメラと比較した場合、アナログカメラの短所としてもっともよくいわれるのが、画質です。
ネットワークカメラは4k対応モデルも多くラインナップされており、再生時にデジタルズームをしてもはっきりと鮮明な映像を確認することができます。
一方で、古いタイプのアナログカメラは画像が荒く、広い範囲の監視はできても、詳細な確認はできないといわれることがあります。
しかし近年は、アナログケーブルを使ってデジタルデータを伝送する「アナログハイビジョン」というハイブリッドの規格が広く出回っているため、アナログカメラの画質については一概に短所とはいえないのです。
アナログカメラの画質は”そんなに”悪いのか?
ここからは、アナログカメラの大きな短所の1つだといわれている『画質』についてご紹介します。
そもそも、アナログカメラには複数の出力方式があります。
従来のアナログ画質(SD画質)はアナログ方式(CVBS)、そして、HD画質(720p)・フルHD画質(1080p)以上にはHD-SDI、EX-SDI、AHD、HD-TVI、HDCVIと呼ばれる5つの規格があるのです。
アナログカメラの画質
一般的に、「アナログカメラの画質が悪い」という話題でのぼるのは、従来のアナログ画質であるCVBS(コンポジット映像信号)を用いたHD画質以前に一般的だった防犯カメラです。
CVBSでの画素数は25万〜52万画素と、HD・フルHD画質が当たり前となった昨今、おおはばに見劣りすることは間違い無いでしょう。
一方、現在市場に出回っているアナログカメラの信号方式である、HD-SDI、EX-SDI、AHD、HD-TVI、HDCVIでは、200万〜400万画素の画質が標準です。
※信号方式の比較、それぞれの詳しい解説は「防犯カメラ選びに役立つ情報〜信号方式編〜」をご覧ください。
ネットワークカメラの画質
アナログカメラと比較するために、ネットワークカメラの画質のご紹介です。
ネットワークカメラの活用目的に合わせてさまざまなネットワークカメラがありますがが、画質としては、200万〜4K(800万画素)の性能がラインナップされています。
4K画質の防犯カメラについて
カメラ自体のイメージセンサーの高解像度化が進み、4Kの映像が撮影でき場合、もちろん4Kの映像を確認したいですよね。ただ、4Kの映像を見るためには4Kのモニターが必要となります。
ご自宅に4Kテレビがあれば問題はありませんが、まだまだ高価な4Kテレビを、防犯カメラの映像確認のために購入することは、特別な目的がない限り、なかなかハードルが高いと言えるのでしょうか。
結論:アナログカメラの画質は”そんなに”悪くは無い
結論として、アナログカメラは、画質面からいえば「今さら設置するカメラではない」といわれるほど悪くはないといえます。
HD-SDI、EX-SDI、AHD、HD-TVI、HDCVIの信号方式では200万〜400万画素の画質をカバーでき、かつAHD方式ではアナログカメラの長所である低コストを維持しているため、非常にコストパフォーマンスに優れています。
(※ SDIはアナログカメラ同様、同軸ケーブルを使いますが信号はデジタル信号です。)
アナログカメラは古いのか?
アナログカメラは古いという話もよく耳にします。アナログカメラは本当に古いのでしょうか?
さまざまな切り口があるため一概に断言することはできませんが、私見として、防犯カメラという目的では、アナログカメラは決して古くない、と考えています。
上記の通り画質の向上が著しく、その上、ネットワークカメラのようにネット環境などのインフラに影響されない安定した撮影・録画能力があるため、防犯カメラとしては今でも十分に第一線で機能するシステムです。
特別なルーターを使用することでタブレットやスマートフォンで遠隔監視できるという利便性も、ネットワークカメラに劣りません。
一方、防犯目的以外で防犯カメラを活用するという側面では、アナログカメラは古いかもしれません。
例えば、高精細な映像を分析した顔認証、そこにAI ・IOT技術を組み合わせて行動分析や顧客管理などを行うのであれば、カメラ自体にパソコン機能を備えているネットワークカメラの方が可能性が拡がるでしょう。
アナログカメラ まとめ
巷で耳にする、「アナログカメラはもう古い。今さら設置するカメラではない」という意見について、アナログカメラの長所・短所を整理しながらまとめました。
私見が入った内容ではありますが、防犯機能に必須な撮影・記録の安定性、導入・メンテナンスコストの低さ、画素数の性能向上、を鑑みて、アナログカメラはまだまだ活躍する信号方式だと考えています。
もちろん、状況によってはネットワークカメラの方が適していることもあるでしょう。
防犯カメラは設置目的や環境によって、最適なシステム・機器が大きく変わります。防犯カメラ設置の際には、ぜひ、防犯カメラのプロの意見も参照されてみてください。
ご相談、お見積もりは無料。防犯カメラセンターにも、いつでもお問い合わせくださいませ。