複数台のネットワークカメラを接続して管理する
「複数台のネットワークカメラを接続し、映像を同時に管理したいけど、どの仕組みをえらんだらいいの?」というお問い合わせをいただくことがあります。
ネットワークカメラの設置内容はIPアドレスなどの各種設定、通信量などが関係します。複雑そうに見えるため不安に感じられることもあるかもしれませんが、実は、それほど難しくはないんです。
場所の違い(工場、マンション・アパート、小売店舗など)、目的の違い(業務効率の改善、防犯、マーケティングなど)、と、お客様により用途はさまざまですが、ポイントを抑えれば、それぞれの方にとってぴったりなネットワークカメラシステムが出来上がります。
ネットワークカメラの種類
防犯カメラの種類を大きく分けると、同軸カメラとネットワークカメラの2種類があります。
同軸カメラにもいくつか種類がありますが、このページでは、HD・フルHD(ハイビジョン・フルハイビジョン)画質に対応できるアナログハイビジョンカメラを例に挙げて話を進めます。
ネットワークカメラとは、ざっくりいえば、パソコンとカメラが一体になったものです。
インターネットに接続されたパソコンのように、カメラ本体にIPアドレスがついていることから、IPカメラと呼ばれることもあります。
同一のネットワーク内に別々のIPアドレスが割り振られたネットワークカメラは様々な手段で同時接続・一括管理が可能です。
ネットワークカメラにもいろいろな種類がありますが、大きな特徴は、4k対応もラインナップするほどの画質の精細さ、AI・IOT分野と組み合わせたときの活用範囲の幅広さといえるでしょう。IoTプラットフォームについてはこちらのサイトへ
同軸カメラとネットワークカメラでは設置の仕組み接続方法・管理方法が異なります。
それぞれ複数台のカメラを接続し管理する方法についてご説明します。
同軸カメラ設置の仕組み
基本的にはすべての機器を有線で接続しますが、スマホやタブレットなど遠隔監視を希望される場合には、DVR(デジタルビデオレコーダー)にインターネット回線をつなぎます。
遠隔監視しない場合
複数台の防犯カメラからケーブルでつながる範囲の場所だけでカメラの映像を見る場合には、DVRとモニターをつないで映像を確認します。
必要な機材は次のとおりです。
- カメラ複数台
- 同軸ケーブル
- DVR(デジタルビデオレコーダー)
- モニター
※同軸カメラについて、このページではアナログハイビジョンカメラを例にしています。
遠隔監視する場合
スマホやタブレットなどを活用して複数台のカメラの遠隔監視を希望される場合には、DVRにインターネット回線をつなぎます。
もちろん複数台の同時監視も可能です。
何台まで複数台のカメラを同時監視できるのか、拡大縮小して映像に接続ができるのか、など操作性については、スマホに入れるアプリにより異なります。画面が小さいので4画面ずつを同時に接続・管理できるアプリが一般的ですね。
必要な機材は次のとおりです。
- カメラ複数台
- 同軸ケーブル
- DVR(デジタルビデオレコーダー)
- モニター
- 設置費用目安(3万5千円、設定費用)
※同軸カメラについて、このページではアナログハイビジョンカメラを例にしています。
同軸カメラで撮影した映像をスマホで見るためのアプリ
DVRに録画された映像をスマホやタブレットを使って遠隔で確認するためのアプリは、たくさん出ています。
無料で使えるものも多いので、使いやすいと感じられるアプリを採用していただいたら良いかと思います。
参考までに、弊社でよく採用するアプリをご紹介します。
iPOLiS mobile
https://apps.apple.com/jp/app/ipolis-mobile/id414214804(App StoreのURLです)
1画面に4CHの映像を同時に監視でき、デジタルズーム機能搭載、日付や時間を選んで再生することができます。
ネットワークカメラ設置の仕組み
上述のとおり、ネットワークカメラとはパソコンとカメラが一体になったものです。
インターネットに接続されたパソコンのようにネットワーク上の住所ともいえるIPアドレスが付与されます。映像を録画しない場合には、カメラとモニター(スマホ、タブレットなど)があれば遠隔監視をスタートできます。
これは一つのローカルネットワークに複数台のパソコンがつながるのと同様、ネットワークカメラも複数台接続することができます。
※ちなみに、同軸カメラの場合でもカメラの映像を見るだけであればDVRはいりません。
映像を録画せず複数台のカメラをモニタリングする場合
複数台のカメラの映像を発信しモニターで確認・管理するだけですから、必要な機材はカメラとモニターだけ。
非常にシンプルです。
接続環境には、電源とインターネット回線(安定した伝送のためにブロードバンド回線がおすすめです)を準備してください。
必要な機材は次のとおりです。
- ネットワークカメラ複数台
- LANケーブル
- モニター
複数台のカメラ映像を録画する場合
複数台のカメラとモニター、NVR(ネットワークビデオレコーダー)が必要です。
必要な機材は次のとおりです。
- ネットワークカメラ複数台
- NVR(ネットワークビデオレコーダー)
- モニター
ネットワークカメラで撮影した映像をスマホに接続するためのアプリ
ネットワークカメラのメーカーが提供している、専用のアプリがある場合も多いです。
ただ、安価なネットワークカメラの場合は、メーカーがアプリ制作までコストをかけられず汎用アプリで対応しているケースもあります。
ネットワークカメラ業界には、ONVIF規格という異なるメーカーの製品間でライブ映像や音声、制御情報などの互換性とセキュリティなどを確保するための規格があります。この規格に則っていたら、視聴アプリを含めパーツなどが汎用的に使用できるのです。
汎用アプリの参考例「Mobile Video Solutions」
複数のカメラを接続し管理できるアプリが沢山リリースされています。
https://apps.apple.com/jp/developer/mobile-video-solutions/id464234178
複数台接続するなら、同軸カメラ?ネットワークカメラ?
複数台の同軸カメラ、ネットワークカメラ、それぞれのカメラについて設置の仕組みを整理しましたが、結局、複数台のカメラを導入する場合にはどちらのカメラのほうが適しているのでしょうか?
結論としては、どちらの方が適していると断定することはできません。
設置場所や台数、目的に沿って、お客様の最適なカメラを採用していただけたらと思います。
同軸カメラをおすすめするケース
屋外に設置する場合
屋外に複数台のカメラを取り付ける場合には、同軸カメラをおすすめすることが多いです。
屋外設置対応のネットワークカメラも、各メーカーからラインナップされていますが、ネットワークカメラは精密機器。
屋外ではどれだけ施工時に気をつけていても故障の頻度が高くなることは否めません。
また、落雷などの影響も受けやすく一回の落雷で複数台のカメラが壊れてしまうことも。
この写真のように、接続部が錆びてしまい部品を交換しなければいけない状況が、同軸カメラよりも頻繁に発生します。
また、ネットワークカメラは落雷に非常に弱いため、この点でも、屋外には同軸カメラを推奨しています。
粉塵や油などが飛び散っている環境
工場や作業現場などでは、粉塵、油分などが舞っているような環境もあるかと思います。
この場合も、同軸カメラを複数台接続できるシステムをおすすめすることが多いです。
やはり、精密機器であるネットワークカメラでは、同軸カメラに比べて故障しやすいからです。
予算を抑えたいとき
現状、同軸カメラよりもネットワークカメラの方が、機器本体やシステム構築にコストがかかります。
よほど、ネットワークカメラにしかできない目的が場合でない限り、予算を抑えたい、という場合には同軸カメラによるシステム設計をご提案しています。
ネットワークカメラをおすすめするケース
顔認証など、AIと組み合わせたカメラ活用を目的とされている場合
画像認識能力が優れているネットワークカメラは、AI分野の技術と組み合わせることで、顧客管理、行動分析に基づく広告戦略に活用される事例があります。
こうしたシチュエーションでは、ネットワークカメラを複数台接続し、映像を組み合わせながら管理・運用するほうが良いでしょう。
ナンバープレートの識別を目的としている、など、高精細な画像認識が必要な場合
ナンバープレートの識別は意外とハードルが高く、特に、雨天時や道路が濡れているとき、車が走行中のときは、非常に困難でした。
一方で、防犯やマーケティングなど各方面の目的から、ナンバープレートの識別をご要望されるお客様が増えてきました。現在では技術開発が進み、夜間でも役に立つネットワークカメラが販売されるようになりました。
【ナンバープレートのページhttps://www.trinity4e.com/license-plate-shoot.html】
カメラからレコーダーまでの距離が長い場合
同軸カメラでは、ケーブルを使って撮影した映像を伝送するため、ケーブルが長すぎるとどうしても映像データが劣化してしまいます。
せいぜい500mが限界です。
そのため、物理的にカメラからレコーダーまでの距離が離れている場合には、ネットワークカメラをご提案しています。
防犯カメラの複数台設置事例
実際に防犯カメラの複数台設置をお手伝いさせていただいた事例をご紹介します。
工場への防犯カメラ設置事例
島田市の工場に複数台の防犯カメラを販売させていただいた事例です。
映像の確認は、事務所および食堂でのモニター監視と、担当者様のスマホによる確認です。
工場への複数台の防犯カメラ導入は、落雷へのリスク、メンテナンスコスト、導入コストなどを勘案して同軸カメラシステムをご提案することが多いです。今回のケースでは配線距離が長いため、ネットワークカメラの導入をお手伝いさせていただきました。
デジタル信号なのでNVRまでの距離が長くても映像劣化がありません。
この工事、弊社にお声がけをいただく前に、出入りの電気屋さんにもご相談されたとのことでした。
あまりに配線距離が長いため専門の業者に頼んだほうが…とのご事情で、弊社を見つけてくださったようです。
2006年から防犯カメラ施工の専門店として経験をつんでおりますから、困難な現場でも対応可能です。ぜひお問い合わせください。
<島田市の工場への設置事例>https://www.trinity4e.com/examples/exa-shimada-01.html
マンションへのネットワークカメラ販売・施工事例
安城市のマンションに複数台の同軸カメラを施工させていただきました。
映像の確認は、マンション内の管理人室のモニターと、スマホでの遠隔監視を採用されました。
オーナー様よりいただいた、「不審な人物が入ってきたときに死角ができないようにしてほしい」というご要望にお応えするため、人が出入りできる侵入口と想定できるすべての位置に防犯カメラを取り付けました。
もちろん、エレベーターの中も、大事なポイントです。
ネットワークカメラではエレベーターの中のカメラには接続が出来ないため、同軸カメラが活躍します。
今回採用したアナログハイビジョンカメラは200万画素の映像です。
オーナー様からも想像以上にきれいで鮮明な映像と喜んでいただけました。
<安城市のマンションへの販売・施工事例> https://www.trinity4e.com/examples/exa-anjo-04.html
コインランドリーへの防犯カメラ販売・施工事例
名古屋市中区松原にあるコインランドリー様に複数台の同軸カメラを販売させていただきました。
映像の確認は、スマホやタブレットと接続できるネットワークを使った遠隔監視、また、本部で他店舗も含め一括監視もされています。
近年のコインランドリーでは、盗難被害が増えているようです。
個人がインターネットを使って気軽に古着や中古品の販売が出来るようになったため、衣類を狙う泥棒も増えているのかもしれません。
まずは不審な人物が入ってくることをためらうよう、『防犯カメラがついている』という宣言をして抑止効果をねらうために、バレット型で存在感のあるカメラを入り口付近に設置しました。
今回は店内にもバレット型を採用しましたが、店舗によっては、店内は控えめなドーム型を設置してもいいかもしれません。
目的に合わせて、管理方法や接続方法、カメラの形状などもご提案させていただきます。
<中区松原のコインランドリーへのカメラ販売・施工事例> https://www.trinity4e.com/examples/exa-nagoya-07.html
ネットワークカメラ複数台接続管理のまとめ
ネットワークカメラを複数台接続し、管理するのは大変です。
また、ネットワークカメラが本当に必要なの?という問題提起にもなったかと思います。
一般的な同軸カメラでも、ネットワークカメラでも、複数台の同時監視・一括管理は可能です。
どちらの方が適しているかは状況や設置目的によって異なりますから、設置を検討される場合にはぜひ詳しくお話を聞かせてください。
以上、ネットワークカメラ複数台接続の仕組み、ネットワークカメラで撮影した映像の確認について、複数台の同時監視・一括管理にポイントを当てながらご紹介させていただきました。